自社に眠る資料が重要な材料に。Sitecore統合で変わること
──ScrunchとSitecoreが統合したことによって、今後何が変わるのでしょうか?
これからのDXP(デジタルエクスペリエンスプラットフォーム)に求められるのは、「自社ブランドが生成AIによってどう表示されているかを把握し、コンテンツを活用して対処し、人間とAIエージェント双方に最適な形で配信すること」です。
企業のコンテンツ管理は、最下層のDAM(デジタルアセットマネジメント)、中層のCMS、最上層のウェブサイトという3階層のピラミッドで構成されています。現状、AIエージェントが参照できるのは最上層のみであり、公開していないアセットまでは到達できていません。
※DXPとは、ウェブサイトやコンテンツ、顧客データを一元管理し、各チャネルへの配信までを担う基盤。DAMは画像や動画、資料などのアセットを管理する仕組み。Sitecoreはこの領域の主要ベンダーの1社。
SitecoreとScrunchの統合は、この構造的な課題の解決を目指します。Scrunchは、あるテーマで生成AIの回答に自社が出てこないことを把握したうえで、「そのテーマに使える承認済みの資料が既に社内にあります。これを公開すれば、回答に出るようになります」と改善点を示せます。これは社内の全情報を単に公開することではありません。「AIエージェントに使わせる前提」で承認済みのコンテンツを特定・活用し、AIエージェントに正しく読み取らせることを意味します。
「AIの可視性」「インサイト」「承認済みコンテンツ」の3要素を揃えることで、企業はAI検索における自社ブランドの体験をコントロールできるようになります。
生成AIに正しく引用させるには? 最初の3ステップ
──ここまでは、自社が持つコンテンツをAIに届ける話でした。一方で、生成AIの回答に自社が好意的に登場していても、根拠として引用されているのは第三者のサイト、というケースもあります。なぜこうしたことが起きるのでしょうか。
生成AIは、バイアスをかけないように、入手できる公開情報をすべて見にいきます。ですから、自分ではコントロールできないサイトが自社ブランドについて語っていて、生成AIがそれを信頼している――その状況を把握することも、自社サイトと同じくらい重要です。
Scrunchのサイテーション機能では、生成AIがどの情報を根拠にしたのかがわかり、UGC(ユーザー生成コンテンツ)かどうかも含めてコンテンツの種類を分類できます。その上で、優先度の高い第三者サイトを特定し、連携して誤情報を訂正する。PRやアナリストとも連携しながら第三者サイト向けのコンテンツを作り、そこでの自社ブランドのプレゼンスを上げていきます。
──自社サイトの改善と、第三者サイトへの働きかけ。どちらを優先すべきでしょうか。
両方必要ですが、まずは自分でコントロールできる自社サイトからです。自社サイトに矛盾した情報があれば、生成AIは混乱してしまいます。実際に、生成AIに誤って語られる原因が、自社サイトに残っていた古いコンテンツだったとわかるケースもあります。
──最後に、日本のマーケターがAI検索対策を今日から始めるとしたら、最初の3ステップは何でしょうか。
次の3つです。
- それぞれの生成AIで、自社ブランドがどう表現されているかを理解する
- AIエージェントが自社サイトにどれくらいの頻度でアクセスし、何を理解していて何を理解できていないのかを特定する
- AIファーストのオーディエンスに向けて、改善をテストする
これからのマーケティングは、生成AIが自社ブランドをどう表現するかに集約されていきます。そこをコントロールし、改善するためにコンテンツを届けられるかが重要になる。まずは、自社が今どう語られているかを知ることからです。

