時には“修行”も辞さない、厳しい「空マイラー」の世界
世の中には飛行機のマイルをためることに精力を注ぐ、「マイラー」と呼ばれる人たちがいる。マイラーには、大きく分けて飛行機に乗らずに、ショッピングなどでマイルをためる「陸マイラー」と、飛行機に乗ってマイルをためる「空マイラー」がある。
陸マイラーと空マイラーはマイルに対しての考え方が違う。いわゆる、お得系のテクニックとしてクローズアップされるマイラーは陸マイラーであり、手軽でコストもほとんどかからないため、単に「マイラー」と言った場合はこちらを指すことが多い。
一方の、空マイラーが駆使しているのは、実際に飛行機に乗って飛んでマイルをためるテクニック。空マイラーの中には「修行」と称して、1日に東京‐沖縄間を何往復もするツワモノもいる。コストと時間を必要とするし、複雑な航空券の仕組みや運賃体系を理解することはもちろん、各国の航空会社のキャンペーン情報をチェックしたり、綱渡りのような旅程をこなす場合もある。へたに手を出すと、何もメリットを得られずに終わる可能性が高い。
空マイラーの目的のひとつに、「EQM(Elite Qualifying Mile)」がある。EQMは上級会員資格取得のためのマイルやポイントを指し、国内では「FLY ONポイント」(JAL)、「プレミアムポイント」(ANA)などがある。上級会員になると、マイルが有効にたまる、空港ラウンジが利用できる、搭乗クラスのアップグレードができるといった特典が受けられる。本来は仕事などでひんぱんに飛行機を利用する人のためのプログラムだが、これを利用しない手はないと考えるのが、空マイラーなのだ。
「安い」と「お得」は違う
ある中堅「空マイラー」のKさんは、仕事の合間に行ける週末旅行を繰り返すうちに、航空会社の上級会員の仕組みを知ったことから、空マイラーとしての道を歩み始めた。彼女の場合、いわゆるフライトマイルは、EQMに付随してくるものという考えのため、マイルそのものの優先順位はEQMの下になる。そんな彼女のマイルを効率よく獲得するためのポイントは、「安い」と「お得」の違いを、“マイル獲得”という前提のもとに理解すること、すなわち「費用対効果を考える」ことだという。
彼女にとってダメなマイラーとは、「安い」だけに固執して、マイル獲得の機会を損失するマイラー(安いとお得は違う)、格安航空券をまったく使わないマイラー(日本の格安航空券は効率的ではないが、海外にはお得なものもある)。
英語の堪能なKさんは、日頃から各国の航空会社が出すフェアなどの情報をこまめにチェックし、フライトマイルのプラスαの部分(ホテルマイルなど)もしっかり吟味。また、会社員なので、マイル獲得のためだけに無理なフライトプランを組まないことを心がけているという。
そんな彼女が旅行を楽しむために大切にしていることは、1日にあれこれ目的を詰め込まないこと。1日にひとつだけ、ちょっとした目的をクリアしたら、ホテルでのんびりするのも楽しいもの。そのために、彼女はグローバルなホテルチェーンの会員となり、行く先々の国のホテルでアップグレード特典などを利用することも忘れていない。やはり、とことんまで追求する資質を持った人こそ空マイラーに向いているのかもしれない。
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