変わっていくサーバーホスティング
インターネットビジネスを手がける中小企業が今、大きな危機感を抱いていると、開口一番切り出したのは、GMOホスティング&セキュリティ株式会社 の大澤貴行氏(ラピッドサイト事業本部長兼商品企画部長)だ。
「その理由は、インターネットが複雑になりすぎてしまったからです。Web2.0などが叫ばれた結果、エンドユーザーにとって使い勝手は向上しましたが、サービスを提供する側にとっては技術的なハードルが急に高くなってしまったのです」。
このため、中小企業の中にはWebビジネスから撤退していく動きも出てきているという。Webがビジネスになると気がついた企業が一斉に資本を投下した結果、潤沢な資金と技術力を持つ大手と、体力的に太刀打ちできない中小とに二極化してしまったというのだ。
これを乗り切るには、物理的なサーバーの台数や回線容量などとは別の次元の技術、つまりマーケティング手法の世界に入っていかざるを得ない。したがって、ラピッドサイトの目指すサービスも、限りなくそちらの方向にシフトしていくというのが同社の観測だ。
「インターネット市場というのは、リアルの市場と比べるときわめて特異な場所です。時間や場所や国境といった制約を全て超えた場所で大手企業と張り合って勝つには、サービスのクオリティを大手と同じレベルにしなければなりません。当然私たちサーバーホスティング業者にも、そこに挑戦しようとする企業や人をトータルにサポートする取り組みが要求されてきます」(大澤氏)。もはやこれまでの“物理サーバーを貸すだけ”といった次元を脱して、ナレッジやノウハウのレベルまでを包含した、総合的なビジネス支援を行うことがサーバーホスティング業界に要求されているのだという。
「そういう意味では、もう『サーバーホスティング』という名称を変えても良いとさえ思っています。事実、当社のスローガンも『ビジネスを支えるインターネットパートナー』を謳っています。そもそもお客様がこの激しい競争を勝ち抜くために本業に専念しなくてはならない時代に、サーバーのメンテナンスでエネルギーを奪われるのは大きなデメリットです。今までのようにサーバーをお貸ししてその料金をいただくのも大事ですが、やはり当社のホスティングをお使いになる以上、最終的に成功していただきたい。そのためには私たちのサービスも変わっていかなくてはならないのです」と、同社ラピッドサイト事業本部マーケティング部長の梅原誠氏は言う。
ホスティングサービスの現在のトレンドは?
ますます複雑化するインターネットビジネスの中で、いまサーバーホスティングサービスを提供する側が最も注目すべきキーワードは何だろうか?