片手間ではできなくなったサーチマーケティング~In-Houseチームの必要性
SEOの歴史は10年以上、検索連動型広告も2002年のスタートから7年になりますが、サービスの内容、検索エンジンのアルゴリズム、解析など、この業界ほど日々変化を遂げる分野は珍しいのではないでしょうか。次第に競合も増え、サーチマーケティングはとても片手間で行える仕事ではなくなりました。
SEOや検索連動型広告プロジェクトの運営管理を代理店に依頼している会社も多いと思いますが、欧米では社内にサーチマーケティング部を設け、代理店と共にプロジェクトを運営管理するパターン、更には代理店抜きで全て社内チームが運営管理するパターンが増えています。このような社内チームを「In-House」(イン・ハウス)と呼びます。今回は、その導入事例を紹介しましょう。
社内連携が取れないために起こりうる問題
今回紹介するクライアント企業は20種類ほどの商品ブランドを持ち、社名ドメインのウエブサイトの他に、各ブランドが独立したドメインでウエブサイトを設置しています。世界20カ国以上で展開し、各国(市場)にあるオフィスが別々にSEO対策を取り、検索連動型広告のアカウントを設けていました。全てがそれなりにスムーズに展開しているように見えたのですが、データなどを詳しく調べたところ、いろいろな問題が浮かび上がってきました。下記はその中でも迅速に改善すべきだと認識された問題です。
- 市場ごとにサイト変更やミニサイトの作成をしていたため、ブランドとしてのイメージやメッセージが統一されていない。
- それぞれの市場で代理店と契約を結んでいるために、各市場でのSEOや検索連動型広告の取り組み方に大きく違いがある。会社全体での契約代理店総数は60社以上。
- ブランド名や商品名など、どの市場でも同じ表記のキーワードを、社内の別々の支社が検索連動型広告の入札で競り合っている。
- SEOや検索連動型広告に対する担当部署以外の理解度が無く、部署間の情報交換がないため社内でのコミュニケーションに問題が発生し、他の部署の協力や理解を得るのが難しい。
- SEOも検索連動型広告も作業のほとんどを代理店に依存しているため、方針変更などの社内決定後、キャンペーンに反映されるまでに時間がかかる。
これらの問題は、海外に支社を持たなくても海外向けに多数の言語サイトを設置している会社なら経験している可能性があるでしょう。また、4番と5番の問題は日本市場のみを対象にサーチマーケティングを展開している企業でも多くが面している問題だと思います。
このような問題の改善にあたって、このクライアント企業ではサーチマーケティングを運営管理するイン・ハウスチームを設定する事になりました。イン・ハウスチームは、ウエブサイトの作成や広告出稿だけではなく、会社がインターネット上で行う事業のすべてを管理します。