検索ページ上位は、SEOのゴールではない
SEOを導入した企業のWebマスター(Webサイトの管理者)、Webマーケティング担当者は導入後の順位だけを気にする傾向がある。検索結果の上位に表示されることで「ユーザの目に触れる機会が多くなるため」と考えるWebマスターもいれば、単に「上位に表示されて目立ちたい」という願望をもつWebマスターもいる。概してWebマスターは順位に対して非常に敏感になり、特定のキーワードにおいて1ページ目に表示されることで満足してしまうことも少なくない。つまりSEOを行う本来の目的が「順位」という見た目にも分かりやすい指標に代わってしまっているのだ。しかしSEOは順位だけを指標として用いるべきではない。
企業の戦略にもよるが、本来SEOを行う目的は「アクセス増加」「資料請求/申し込み」などが主である。しかし前述のように、担当者は特定のキーワードにおける順位を気にしている。順位だけを追いかけたとしても、これらの目的を果たすことは非常に困難である。
ではこれらの目的を達成するためには、何に着目してSEOを導入すべきだろうか。このポイントを4つに分けたので、順番に見ていこう。
1.対象キーワードを限定していないか
キーワードを限定するタイプのSEOは、特定のキーワードでの上位表示は期待できるものの、その他の検索クエリ(検索キーワード)に対応することは難しい。また、ユーザに対してWebサイトの一部のコンテンツしか見せることができないという大きなデメリットがある。さらに、限定したキーワードでの順位、流入数でしかサイトの状況を把握していないと、本来優良であるユーザの検索クエリを見落としてしまう可能性があり、見込み顧客を見逃すことになってしまう。では、流入したキーワードを確認するためには何をすべきであろうか。
ここで必要となるのがWeb解析である。Web解析にてデータを解析することで、特定のキーワードに依存せず幅広くキーワードをチェックし、サイト構成に手を加えることで間口を広げ、より多くのアクセスを得ることが期待できるのだ。
2.検索結果に意図したタイトル・説明文が表示されているか
SEOを導入したことにより上位に表示されたとしても、アクセスが一向に増えないケースもある。これは検索結果に表示されるタイトル、説明文が影響している可能性が高く、ソースコード内の「title」、「meta description」をチューニングする必要がある。ここでtitle、meta descriptionが重要になった経緯を振り返っておこう。2005年10月3日、Yahoo!は独自の検索エンジンYST(Yahoo! Search Technology)を導入した。これにより、人の手によって登録されたデータベースから検索結果を表示させる「ディレクトリ型検索エンジン」から、ロボットによってWebサイト情報を自動取得し表示させる「ロボット型検索エンジン」へと変化を遂げた。
それ以前、つまり2005年10月2日まで、Yahoo!はYahoo!カテゴリに登録されているサイトを検索結果に表示させていた。当時、検索結果には登録内容を反映させていたためtitle、meta descriptionはそれほど意識して記述する必要はなかった(Yahoo!のみ)。しかし、ロボット型検索エンジンになったことで、単に登録内容を表示させるというパターンだけではなくなった。そこでtitle、meta descriptionが非常に重要になったのだ。
さらにYahoo!は先日、NOYDIR(※)というYahoo!カテゴリの登録内容を検索結果画面に反映させるのを拒否するタグを公開した。titleは検索結果に表示され、meta descriptionも一定のルールに則り検索結果に表示される。仮にtitleやmeta descriptionの内容が一定であった場合、ユーザの検索した語句が含まれていないため、クリックされない可能性が高くなる。
このことは最終的にはユーザの取りこぼしに繋がってしまう。ユーザのクリックを確認するためにはWeb解析が必要だ。またWeb解析によって、どのようなtitle、meta descriptionを設定することでクリックされやすくなるのか、さまざまな検証を行うことも可能になるのだ。
次に検索の上位に表示されるようになったが、結果的に成果に繋がっていない場合について考えてみよう。
※Yahoo!は2007年3月よりmetaタグNOYDIRを公開。対象ページがYahoo!カテゴリに登録されている場合、検索結果のタイトル、説明文に登録内容を反映する場合がある。このNOYDIRタグは登録内容の反映を拒否する機能を持っている。つまり運営者がタイトル、説明文をコントロールすることが可能となる。