昨今、アクセス解析ツールの導入を進める企業が増加しているが、有効に活用できている企業はまだまだ少ない。専門用語が多く難しい、ツールの使い方がいまいちよくわからない、など理由は様々だが、アクセス解析を活用していきたいというニーズが高まっていることは事実だ。
今回のセミナーは、アクセス解析ツールの導入、もしくは乗り換えを検討している担当者向けのセミナーとしてアクセス解析イニシアチブとMarkeZine編集部が企画。特に、アクセス解析を有効に活用するためのポイントであるレポート機能とサポート内容に焦点を当てたプログラムとなった。
なお、アクセス解析イニシアチブはアクセス解析に取り組むアクセス解析担当者、マーケティング担当者のスキルアップや人材交流を目的として発足した団体。今回のセミナー以外にも、ワークショップやセミナー、交流会などを定期的に開催している。
トップバッターには、株式会社クロス・フュージョンの代表取締役でありアクセス解析イニシアチブでも副代表を務める、衣袋宏美氏が登場した。「解析ツールの選び方と移行の注意点」と題したセッションでは「ツール導入で失敗しないためには?」「ツールを入れ替える際の注意点は?」という2点を中心とした内容となった。
冒頭、衣袋氏はツール導入の「あるべき手順」として、
- 無料あるいは安価なツールを導入
- 社内での活用・運用体制のチェック/成功指標の計測可否のチェック
- 有料ツールを本格導入(無料ツールとの平行期間を設ける)
- 主要な過去データは補正値を作り、トレンド比較可能な状態にする
というステップを語り、いきなりツールの導入を検討するのではなく無料ツール、もしくは安価なツールと有料ツールを並行して利用することが大切だとした。「あるべき手順で進めるのはなかなか難しいですが、高いコストで失敗するよりも、安いコストて失敗するべきでしょう。そのためにまずは無料、もしくは安価なツールでいろいろ試してみることが大切です」
また、導入を進めるにあたってツールを選定するポイントについては、サイトの目的から成功指標を定義し、その指標を測ることができるのかどうかが重要だとした。
「アクセス解析ツールには様々な機能があり、選定ポイントも様々です。例えば、リアルタイムでの計測が可能かどうか、表示/ダウンロード件数はどのくらいなのか、どのようなセグメンテーションができるのか、などはツールによって様々ですが、大切なのは『無いと困る機能は何か』を見極めることです。そのために、まず成功指標として、何を計測すべきかをしっかりと定義することが大切です」
次に、ツールを入れ替える際の注意点については、1つのサイトを複数のツールで計測した実験結果を元にした内容となった。衣袋氏は、サーバログ型ツールを1種類、Webビーコン型ツールを3種類、サイトに設置し計測したところ、サーバーログ型の方がPV、セッション数、ユニークブラウザ数は多くなったが、数字全体のトレンドとしてはほぼ一緒になったとした。一方、あるメニューに特化した計測結果は数字に差が見られたという。
「3種類のWebビーコン型ツールの計測結果を『参照元』メニューで比較したところ、ツールCだけ大きな差がでました。この理由について知りたい方は、2009/11/26『アクセス解析ツールのいけてない集計仕様ベスト3、第1位』という私のブログのエントリを読んでいただければと思います。大切なことは、同じ『参照元』という言葉でも、ツールの仕様によって定義はさまざまであり、そういった事実を知っておくという点です」。
最後に、衣袋氏は「よく、ツールによって数字が違うのはなぜ? という質問を受けるのですが、計測数字の大小はツールの仕様によって変わるので、気にする必要はありません。数字はトレンドで把握することが原則なので、仕様の部分はあきらめましょう。その他、入れ替える際の注意点としては、何か月か並行期間を設けて比較する、比較過去のデータは一定の補正をかけて比較対象できるようにしておく、などが挙げられます」とし、セッションを締めくくった。
なお、他のセッションの詳細なレポート記事は後日掲載していく。
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