サイトリニューアル成功へのポイント3:予算は使い切らない
3つ目のコツは「予算を使い切らない」だ。
サイトをリニューアルしたからといって、それで完結するわけではない。石井氏は「実際私たちが行った施策が間違うことはよくありますし、想定外の進入や離脱が思わぬところで増えることもあります。そうなったときに、すぐに直せないとやはり失敗です。大切なことは2つあって、1つがリニューアルが成功か失敗かを把握すること。それからもう1つが失敗した部分を直せる余裕です。PDCを回していく予算をとっておかないと、失敗したら終わってしまいます。1,000万の予算があった時に、全部1,000万円ギリギリに見積もってきた会社に対しては、運用費や改修費に関する質問を投げかけていくといいと思います」とアドバイスした。
サイトリニューアル成功へのポイント4:ノウハウをためる
4つ目のコツは「ノウハウをためる」ことだ。
担当者の異動は必ず起きる。今までWebをやっていなかった人が担当になった場合「何をすればいいか分かりません」というパターンが多く、担当が変わるたびに失敗を繰り返してしまうことも聞く話だ。ノウハウを蓄積するための方法として石井氏は「評価指標を持つ」「ノウハウをためやすい体制をつくる」「実施した記録を残す」の3点を挙げた。
評価手法に関して石井氏は「手法はいろいろありますが、ツールは統一した方がよいです。ユーザーをブラウザのCookieでカウントする場合とIPアドレスで取得する場合では大きく違います。例えば同一IPから異なる100人がアクセスした際、後者のほうは1人とカウントされてしまいます。また、ツールの導入もいろいろな考え方があります。カテゴリーによってやりたいことが違う場合、別のツールを導入することもありますが、忘れてはいけないのは、同じ評価に関してはら同一のツールを使います」と説明した。
続いて石井氏は、ノウハウを蓄積していく体制づくりの例として、NTT東日本の「フレッツ.com」のケースを紹介した。
このサイトの目的はフレッツ光回線や周辺サービスの申し込みを獲得だ。取り扱い商品はたくさんあり、担当者がそれぞれに存在している。当然担当者ごとにサイトで実現したい思惑は異なっていて、それぞれ勝手なことをやったら収拾がつかなくなる。
このため、予算やサイトの更新などのジャッジを行うWeb担当部門を設け、この部門が制作会社や、必要に応じて召集される担当部署らと1つの会議体を作って、数字を共有しているという。会議体では、アクセス解析のデータを使って改善要求のレポートを作って実施したり、結果をみんなで共有することによって、何がよかったのか何が悪かったのかというのを討論する。その結果、Webによる申し込み数が2倍になったという。
最サイトリニューアル成功へのポイント5:情熱!
石井氏は、フレッツ.comの成功について「プロジェクトメンバーの方はWebサイトをよくしようという気持ちがすごくあって、『必ずこのサイトは上手くいく』と皆さんと説得してもらったのが非常にプラスに働いたんじゃないかと思います。私たちが言ってもそれを改善しようという『気持ち』がなければやっぱり上手くいきません」と、5番目のコツは「情熱」であり、成功させるという気持ち、折れない心が大切であると力説。最後に、以上5つのコツをおさえてリニューアルを成功させてほしいと語り、講演を終えた。