サイトリニューアルで失敗しないために
予算をかけてサイトリニューアルに取り組んだが「問い合わせが増えない」「売上アップにつながらない」という経験のある方も多いのではないだろうか。MarkeZine Day 2009では、デジタルフォレストで数多くのサイトリニューアルを手掛けてきた石井氏が、サイトリニューアルを成功させるためのコツを5つのポイントに分けて解説した。
サイトリニューアルを成功させるポイント1:横断的プロジェクトを発足させる
1つ目のコツは、「横断的プロジェクトを発足させる」ことだ。1つ目のコツを解説する前に石井氏は、サイトリニューアルを行うにあたって次の3つの課題に直面するケースが多いと語った。
- サイトリニューアルを行う際の情報設計やデザインは声の大きい人の好みや意向で決まってしまうことがある。特に特定商品が目立つサイトはその場合が多い
- 社内協力が得られないケースが多い
- 特に大企業の場合が多いが半年前は関係ない部署にいたが、いきなりWeb担当者になり知識がまったくない
次に、事例として石井氏は某コンテンツ配信会社のサイトリニューアルを紹介した。このサイトは会員登録~購買完了までの遷移率が9.7%のサイトとなる。つまり、サイトに訪問した9.7%の人がコンテンツを購入しているわけだ。石井氏はこの9.7%を倍にしてくれとサイトBの担当者から依頼を受け改善に取り組んだとした。
「私たちが依頼を受けたのはサイトBの担当者だったため、まずサイトBの遷移率を確認したところ87%という数字がでました。つまり、約2割の人しか離脱していないので、サイトBに関しては問題がないことがわかりました。そこで、サイトBの前後のページ(下図のサービスAページと、サイトB購入開始ページ)にタグを貼って調べたところ、サービスAページにいたるまでに約6割が離脱し、購入開始ページから購入完了ページにいたるまでに約7割が離脱していることが分かりました」
つまり、9.7%の数字をアップさせるためには、サイトAと購入開始~購入完了ページを改善することが必要となってくるわけだが、サイトAと購入開始~購入完了ページは別の担当者となるため、再度予算をもらうことは現実的には難しい状況だったという。
「サイトBについては問題なかったので、『その他の部署の予算を使って改善してはどうでしょうか』という提案をしましたが、現実的にはうまくいきません。特に企業規模が大きい場合は複数の部署がWebに関わっているケースが多く、その部署に関係するページを改善したい場合は、その部署の予算を使う場合が多いです。そのため、サイトのリニューアルを行い、サイトの最適化を図りたいを思った場合は、サイトに関連するステークホルダーを事前に集めることが大切になります」とし、横断的にプロジェクトを発足させることが重要とした。