2010年は動画マーケティング元年
アメリカでは動画を活用したWebマーケティングが着々と広まりつつある(詳細:「百万聞は一動画に如かず」 CVR向上を目的とした米国動画マーケティング最新事情)。
Amazonに買収された企業として話題になった靴のECサイトZapposは、Twitterを活用したマーケティング施策で実績を上げたことでも評価されている。そんな同社の2010年のテーマの1つが動画マーケティング。年間通して5万本ものビデオを制作して、サイト公開することを目標に掲げているという。
日本でも楽天グループが動画配信に本格的に取り組み始めるなど、導入する企業が増え始めている。競合他社に先駆けて動画導入を成功させるにはどうすれば良いのか。動画配信プラットフォームののサービスをSaaS(Software as a Service)で提供する、Brightcoveに国内での動画導入の成功事例、値頃な価格帯で導入できる同社サービスの特徴、最新トレンドに対応した最新機能などについて話を伺った。
CVR1.8%を8~10%に改善/売上は平均で20~40%UP
動画を効果的に活用した事例にはどんなものがあるのだろうか。同社のマーケティング&プロダクトマネジメント シニアディレクターの須賀正明氏(写真左)によると、成果が上がっている主な事例としては、
- ・電力・飲料などのBtoC向け事業会社がブランド訴求のために利用
- ・ECサイトが商品説明・CVR(コンバージョン率)改善のために利用
- ・システム・製薬・金融商品などの高度な説明が必要で予算も大きなBtoB商材の理解を深めてもらう目的で利用
といったケースが挙げられた。
中でも目に見えて成果が上がっているのはECサイトとBtoB向け商材の事例。「アメリカのネット調査会社comScoreが2009年に調べた調査によると、オンライン動画の採用により平20~40%の売上増加があったという調査結果が出ています」。また別のデータでは、ECサイトでの動画導入には返品率の改善といった効果もあり、返品が24%減ったという事例もあるそうだ。
BtoB向け商材で成功している企業の代表例として、こちらの記事でも紹介しているサン・マイクロシステムズが挙げられる。同社は既存顧客向けのポストセールスで動画を活用。
「製品のトラブルシュートや新製品の案内に動画を使っています。例えば新製品が出たらダウンロードの案内とか、β版参加を促しているのですが、そのCVRがこれまで1.8%だったのが8~10%に改善された実績があります」
ほかにも製薬会社が地方病院への営業の際にプレゼン資料とともに動画で新薬の説明をする、銀行などの金融機関が新商品を社内で理解してもらう目的で社員向けに紹介ビデオを制作する、といった活用事例があるという。
動画導入に最適なBrightcoveの動画配信ASPサービス
動画コンテンツを活用することで成果が増える。そう言われても、動画配信システムを開発する、あるいは買ってくるとしたら、いったい幾らかかってしまうのか見当もつかない。自社で開発してしまった場合には、その後の運用コストや、新技術が出てきた時に対応するコストで継続的な費用もかかってしまう。動画を試したいと思っても、そう簡単には動けないというのがWeb担当者の本音だろう。そんな課題に直面した時に、選択肢となるのがBrightcoveの動画配信ASPサービスだ。
動画のアップロード・コンテンツ管理、動画プレイヤーの作成・カスタマイズ、動画視聴のパフォーマンス分析といった動画配信に必要な機能が一通りそろっており、初期・月額費用無料で視聴回数に応じた従量課金制で利用することができる(Brightcove Proのエディションでは初期費用40万円)。大規模なサイトでなければ月間10万円程度から利用できるそうだ。なお、1月からは視聴回数の上限は設定されるが、月額固定費用10万円で利用できるプランも追加される予定だ。
また、動画を使う際には「コンテンツをどう制作すれば良いのか」とどの外注先に依頼しようか、頭を悩ませるかもしれない。だが、先に紹介したサン・マイクロシステムズでは、ほとんどの動画が同社エンジニアによって撮影されたビデオで、撮影したスタッフがそのままアップしているという。
「素人チックなビデオですが、そういう動画の方が宣伝くさくなく、リアルで好まれます。お客様から『ビデオ制作を手伝ってくれないか』とリクエストいただくこともありますが、そんな事例もありますので『自分で撮った方が良いですよ』とお勧めしています」
プラットフォーム自体も無料の動画共有サービスを使って済ませるという選択肢もあるかもしれないが、動画プレイヤーをカスタマイズする自由度は低く、見せ方に制限が生まれてしまう。さらに、再生終了後にはほかの動画をレコメンドされてしまうため、せっかく集めたユーザーを外部に持っていかれるというリスクもある。
対してBrightcoveのASPを利用すればカスタマイズ性に優れているため、表示サイズも自由に設定できるほか、プレイヤーの付近にほかの自社動画をサムネイルやリストで表示したり、動画再生中のプレイヤー内にBuyリンクやサンプルダウンロード用のリンクを表示して自然な流れの中で視聴者にアクションを促すこともできる。そうしたカスタマイズ作業は、同社のトレーニングを受けながら自社で開発することができる。追加の費用は発生しないため、思い通りに使うことが可能だ。
さらに、プレイヤーをどこまでカスタマイズするかによって変わってくるが、導入までの日数が少ないことも魅力の1つ。基本的にはサイトにBrightcoveのタグを埋め込むだけで利用できる。最速で3日程度で導入した実績があるというが、理論上は動画さえ用意しておけばその日のうちにもサイトに動画を掲載開始できる。これは大きな利点だろう。
最新の動画配信トレンドに対応したBrightcove 4の新機能
そんなBrightcoveのビデオプラットフォームは、2009年11月に新版のBrightcove 4にメジャーアップグレードされている。主な新機能は次の通り。
- 動画パフォーマンスを計測する分析機能を強化
- iPhone専用アプリケーション開発のためにSDKを追加
- カスタムクラウドエンコーディングにより、さまざまなサイズ・解像度の動画を、より高品質に自動エンコーディング
- Twitter、Facebook、MySpaceなどのソーシャルメディアへの共有機能を追加
分析機能を強化
動画を導入したとしても、成果につなげられなくては意味がない。コンバージョン数などへの影響は既存のアクセス解析ツールなどで解析できるが、動画がどこまで見られたのか、動画のどの部分がアクションにつながったのか、動画についての詳細な分析もしたいところ。Brightcove 4では、そうした分析を可能にする機能を備えている。動画コンテンツのA/Bテストをより効果的に進められるだろう。
iPhone用のSDKを追加
また、動画視聴のデバイスとして、iPhoneなどのスマートフォンの利用が増えているという。
「この半年くらいでかなり急激に増えてきています。BlackBerryやPalm、Android携帯からの閲覧も含まれますが、世界全体のトラフィックの10%くらいがスマートフォンによるものです。日本でも5~10%くらいは出ています」。今回のBrightcove 4でiPhone用のSDKが付いてきたのにはそうした背景がある。
SDKにはEmailでの通知機能、Twitterとの連携、カバーフローで動画を選ばせる機能などが含まれている。「iPhoneはマルチタスクではないので、動画とメール・Twitterなどを連携させるのにアーキテクチャ上の制限があります。そうした機能を1つのアプリケーションの中で完結したい、というニーズがどうしても出てきますので、iPhone専用のアプリを開発するためのSDKを用意しました」と狙いを語る(以下の動画はiPhone用SDKのデモ動画)。
エンコーディングの柔軟性を強化
3つ目の特徴はエンコーディングのオプションに柔軟性を持たせたこと。PC用大画面サイズの1280×1024から、iPhone用のサイズまで、1つの動画からそれぞれ作成できるようになっている。
また、Adobeのダイナミックストリーミング機能にも対応。ネットワーク帯域と端末のCPU負荷を見て、リアルタイムで適切な解像度の動画を選んで配信してくれる。この場合、異なる解像度の動画を用意する必要はなく、動画を1本アップさえしておけば、あとはBrightcove側で処理してくれる。
ソーシャルメディアとの連携強化
ボタン1つでTwitter、Facebook、MySpaceなどに動画を投稿できるという機能だ。Twitterからのトラフィックも無視できない量になってきているそうで、アメリカではTwitterなどにも投稿してもらい、そこからさらに人を集めてくるというマーケティング手法が一般的になってきているという。
以上のような新機能を備えたBrightcove 4は、今なら30日間の無料トライアルも可能だ。思い立ったが吉日。この機会に動画マーケティングを試してみてはどうだろうか。