mixiアプリの公開で第二の成長ステージに突入
今年8月、ソーシャルプラットフォーム「mixiアプリ」PC版を公開したミクシィの原田氏は「モバイルに押されて伸び悩んでいたPCサイトのページビューが急増、滞在時間も8月と10月を比較すると2倍。またユニークユーザー数も過去最高を更新している。PC版mixiは第二の成長ステージに入った」という。
その成長を後押ししているmixiアプリの代表例が「サンシャイン牧場」である。これは農場と牧場を経営するという育成ゲーム。登録者数は2009年11月25日現在で351万人。その80%がアクティブユーザーとなっている。
人気アプリの特徴として原田氏は次の4つを上げる。それが見ただけですぐわかる「分かりやすさ」、友達と一緒にプレイしている空気になる「ソーシャル性」、ユーザーを飽きさせない「継続性」、友達を招待する「巻き込み性」だ。「これまでのゲームではシナリオ性などが重視されてきたが、ソーシャルアプリではシナリオはなくてもよい。それよりもコミュニケーションの場をきちんと提供できているかが重要な要素となる」と原田氏は強調する。
ミクシィでもDeNA同様、パートナーに対して5つの事業支援メニューを用意。広告や課金などの収益化支援からアプリのプロモーション支援などのマーケティング支援、ソーシャルアプリ全般の技術やヒットに向けたコンサルティング、設備や運用監視などセキュリティチェックなどの運用支援、さらにはmixiファンドによる資金支援も行っていくという。
急成長が続くFacebookアプリ市場参入で、下請けからの脱却を
日本支社が設立され、今後日本市場での成長に注目が集まるFacebook。その動向を開発者の視点から紹介したのが、ブレークスルーパートナーズの赤羽氏である。赤羽氏はプレゼンの冒頭で、参加者に「Facebookを使ったことがあるかどうか」と尋ねた。使ったことのある人は少数派だったが、「日本語ユーザーもすでに100万人おり、若い人を中心に急速に伸びている。世界では1週間に600万人~700万人という勢いで増加している」という。
Facebookのアクティブなアプリ数は35万以上あり、月間アクティブユーザー数100万人以上のアプリが250個以上、1000万人以上のアプリが12個ある。中でもこの半年で爆発的に伸びている企業が、「米サンフランシスコに拠点を置くZynga社と、香港の6Waves社だ」と赤羽氏は紹介する。米Zynga社の年間の売上は2億ドル(約172億円)を超える。また、6Waves社も設立されてまだ1年半ながら月間アクティブユーザー数は3800万に達する勢いだ。
とはいえ、Facebookアプリ市場はトップベンダーであるZynga社でも200億円を下回っている程度。日本の携帯コンテンツの4000億円市場と比較すると、収益性はかなり低い。その市場で戦う意味はあるのか、疑問に思う人もいるだろう。それについて赤羽氏は「FacebookがAPIを公開したのは約2年前。それでここまで成長した。しかも成長のスピードはさらに加速している」と市場の成長力を挙げる。
「日本のモバイルユーザーは世界のユーザーの数年先を走っている。日本のゲームと携帯コンテンツの強みを生かせば、今後5年以上は成長が続く世界中のモバイルSNSソーシャルゲーム、アプリ市場で有利に戦うことができるはず。
また、アンドロイドが来年後半、台風の眼になる。アンドロイド向けのアプリ開発は要注目だ。こうした分野に参入することは下請けから脱出し、自社事業を確立する稀なチャンス。ぜひこの機会を生かしてほしい」(赤羽氏)
最後にコーディネータの岸原氏が、「本日はソーシャルアプリの動向の触りだけとなってしまったが、可能性は非常に感じられたはず」と総括し、パネルディスカッションは終了した。
