「第4回ICPFシンポジウム『参加型メディアの可能性』」が3月23日に、NHK千代田放送会館(東京都千代田区)で催され、第1部にウィキペディアの創立者、ジンボ・ウェールズ(Jimmy Wales)氏の後、第2部として磯崎哲也氏、小飼弾氏など5人の有名ブロガーが登場し、「日本のブログはこれでいいのか」という議題の元に討論会が行われた。
討論会は、司会を池田信夫(ICPF事務局長)が担当し、磯崎哲也(磯崎哲也事務所 代表)、小飼弾(オープンソース・プログラマー)、佐々木俊尚(ジャーナリスト)、原淳二郎(ICPF理事)の計5人で行われ、日本のブログが抱える可能性と問題点について意見が飛び交った。
ブログについては、まず元朝日新聞編集委員の原氏が「誹謗中傷が目的のトラックバックやコメントが大量に発生し、ノイズが多い。参加者のモラルが低いのが現状の問題点。それが原因でオープンなブログから非公開が中心のミクシィへ人が流れている」と苦言を呈した。これに対し、佐々木氏は「ノイズはブログに関わらず、必ず発生するもの。それがインターネットで目立つようになっただけで、受け入れながらやっていくしかない」と意見。「新聞では社論から外れるようなことは書けないが、ブログでは好きなことが書ける」とブログのメリットを主張した。磯崎氏もノイズがブログの問題であることは認めつつも「それでも大勢の人に自分の意見を伝えることができるブログは、私にとって重要なツール」と話した。
また米国ではブログで生計を立てているブロガーも少数ながら存在するが、現在の日本のブロガーはほとんど無報酬なのが現状だ。そこでアジャイルメディア・ネットワーク(AMN)のようにブロガーと広告を結びつけるような動きも出てきている。磯崎氏も「5年後はブログで食べていける人が出てくるかもしれない」と話した。ただ広告収入を得て、ブログを書くとなると、広告主の顔色を窺い、自由に書けなくなってしまうという危険性もはらんでいる。これについて磯崎氏は広告をとってもブログは成立が可能だと主張した。「新聞社も広告をとっているが、ある程度主張したいことを主張している。私もブログに広告を貼っているがそんなに気にしていない。逆に広告とは全く無縁のメディアというのは、今まで成立したケースというはほとんどないのでは。ブログと広告は共存が可能だと思う」と話した。
佐々木氏も「テレビなどの既存のメディアは、主要な広告主とのしがらみがあるだろうが、ブログの数は膨大で、広告主も膨大。広告主の影響は少ないだろう」と述べた。一方、小飼氏は「広告収入のあるブロガーでも、主な収入源はブログ以外の本業にあり、今はブロガーが広告主を意識する必要がない状態。だからブロガーが広告にどこまで阿るか結論を出すのは時期尚早」と慎重だった。
この後ブログやインターネットについて、さまざまな意見が飛び交ったが、「いろいろな問題を抱えてはいるが、焦らず時間をかけて問題を解決していくべきだ」との原氏のコメントで討論会は締めくくられた。