変化に対応し続けた者だけが勝者になる
── Cレベルの役職の人々の、ウェブに対する知識や理解度、オンラインマーケティングに対しての一般的な考えとは、どのようなものでしょうか?
いわゆるフォーチュン500(米フォーチュン誌による総収入が全米上位500社のランキング)レベルの企業について言えば、業界に関わらず多くのCレベルは正直なところウェブが分かっていないと思います。これまでに私が話す機会があったCレベルは、ウェブをTVや店舗と同じように考えている人が多数派です。ウェブはまったく違う生き物で、ウェブが持つ可能性は実に想像を超えるレベルにあるという事が分かっていません。
例えば、スーパーに買い物に行った時、私の好みに合わせてスーパーが品物を置き換えるなんて事はありません。でも、アマゾンのようにEコマースサイトなら、顧客一人一人に合わせた商品の提供が可能です。これがウェブの持つパワーです。大手映画制作会社のCレベルの担当者に会った時、ウェブやソーシャルメディアをうまく利用すれば、公開前の映画でもどんなにバズを作り出せるかという話をしました。宣伝だけでなく、人々と映画をつなぐ役割を果たします。他のメディアでは、ここまでの密な関係を築く事はできません。
Cレベルの多くは、ウェブがこのような可能性を持つ新しいチャンネルだということを分かっていません。Cレベルはいろいろな知識や経験を持つ聡明な人々ですが、若い層の様なウェブの使い方をしないため、いまひとつウェブが分からないのです。Cレベルに革命的なウェブの使い方を理解させるのが難しいのは、このためです。
ウェブでは何もかもが素早く変化するのも、Cレベルが戸惑う理由だと思います。私やウェブマーケターの多くが魅力だと感じるこの変化の早さが、何十年も安定した環境で仕事をしてきた人に違和感を抱かせるのかもしれません。TVのコマーシャルや雑誌の広告と違って、ウェブではバナー広告からリスティング広告、ビデオだ、解析だ、今度はソーシャルメディアだと、次々に変化します。次の世代が管理職に付き始めた時、ウェブの本当のパワーを見ることになるのかもしれません。
決してCレベルがダメだと言っているのではありませんし、将来は明るいと思っています。新しい技術やサービスに興味を示し、学ぶ努力をする人も多くいます。先日は、世界でも最大手の広告代理店で、ウェブについて、そして現在行なっているウェブの取り組みをどう改善するかという話をしました。貴方や私のようにウェブへの理解を広めようと努力している伝道者も多くいます。良い方向に変化するはずです。この加速して走り続ける電車にいち早く乗った人が勝者です。電車に乗らずウェブを最大限に利用しない人も、嫌でも変わらなくてはいけなくなるはずです。検索だけでなくソーシャルメディアにしても、これまで単なる選択肢の一つだと思っていた人々も、選択ではなく受け入れなければならない存在だと気付くはずです。電車に乗らないと、負けるだけでなく死んでしまう事にもなるでしょう。
── とても強いメッセージですね。受け入れるつもりはあってもどこから始めたら良いのか分からない、という人もいると思います。例えば、解析ツールを導入するに当たって必ず収集すべきデータや、見落としやすいデータはありますか?