不況下でさらに重要性が高まるメールマーケティング
不景気の影響もあるのだろうか。ブランディング重視の費用対効果が見えづらいプロモーションをカットし、確実に売上を増やすための施策に重きを置く企業が多くなってきている。効率で考えると、顧客を新たに獲得するよりも、既存顧客へアプローチする方が効果的だと言える。そのため、特にECサイトなどでは、メールマーケティングの重要性が、ますます高まっている。
とはいえ、ECサイトを運営している企業であれば、メールマガジンを使って新商品をPRする、季節モノの特集を組んで再来訪を促すといった手段は既に実施済みのところが多いはずだ。一定の成果を出している施策をさらに改善する取り組みは正直に言ってしんどい。かといって送料無料、ポイント何倍といった割引主体のキャンペーンは短期的な売上増につながりやすいものの、一方で粗利を圧迫して悪循環に陥ってしまうという麻薬的な怖さもある。
うまい話はなかなか転がってはいないものだが、エイケア・システムズが長年注目し、ついに今年国内初のサービスとしてリリースまでこぎつけた新手法は、こうしたメールマーケティングの状況を打開する大きな一手となる可能性を秘めているという。メッセージング事業部マーケティング部の北村伊弘部長に話を聞いた。
開封率が高く、パーミッション取得も不要なトランザクションメール
エイケア・システムズが、今回リリースする新サービスは、トランザクションメールをメールマーケティングに活用するという新しい試み。トランザクションメールとは「注文内容の確認」「購入明細」「会員登録完了のお知らせ」など、消費者のアクションに対して、自動的に配信されるもの。こうしたメールは、単に必要な情報のみを記載するのが常だった。
しかし、MarketingSherpaが2007年に実施した調査結果によると、メールマガジンなどオプトイン形式の広告メールを「いつも見る」と答えた人の割合が21%であるのに対して、トランザクションメールでは54%、さらに「よく見る」と答えた人の割合まで含めると75%にまで跳ね上がる。消費者にとっても重要なメールであるため、より開封してもらいやすく、北村氏によると「2007年以降、海外で積極的に活用されるようになってきた」という。
こうしたトランザクションメールをプロモーションに活用する際、運用担当者が気になるのは、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(特電法)に違反しているのではないかという問題だ。だが、特電法では、購入明細メールなどに関しては、付随的に広告が掲載されていてもパーミッションをとらずに送ることが認められている。そのため、事前に承認を得るプロセスを踏まずとも、すぐ実行に移せるという利点がある。
「メルマガはECサイトの利用者全員が受け取っているわけではありません。トランザクションメールを活用することで、メルマガ会員以外にもリーチできるので、メールマーケティングの対象を拡大できるわけです」(北村氏)
実際、Amazonなどでも既に使われている手法ではあるが、国内の活用状況から考えるとまさに盲点と言える。海外では、コンバージョン促進はもちろん、テキスト形式だったトランザクションメールをHTML形式に変え、ロゴを目立たせてブランディングを強化する、といった用途も含め、トランザクションメールを活用したマーケティングに注目が集まっているという。また、トランザクションメールにまで広告を入れることに対して、ユーザーがどう思うのかが気になるところだが、先に紹介したMarketingSherpaの調査によると、「好ましい」「まあまあ」といった好意的な意見が56%を超えるなど、ポジティブなレポートが出ている。
トランザクションメールは、前述のとおり、ユーザーの何らかのアクションに対して自動的に配信するもの。そのため、配信するにあたり配信対象者の嗜好性を把握するデータが存在するというのも大きなポイントの1つだ。例えば、購入明細を送る場合、「購入した商品の銘柄」や「以前に購入した商品」といったデータが考えられる。これらのデータを参照し、配信対象となるユーザー1人1人に対してお勧め商品を提示できればさらなる成果が期待できる。これを実現するのが、今回、エイケア・システムがリリースする「MailPublisher Transaction」だ。「MailPublisher Transaction」は、レコメンドエンジンと連携し、自動的にお勧めコンテンツをトランザクションメール内に差し込んで配信するという、日本国内では初となる機能を備える。
今回紹介する、購入回数アップを狙う新しいメールマーケティング手法の詳細資料をエイケア・システムズのWebサイトで公開中です。
自動化で運用コストいらず、到達率向上という副次的な効果も
「通常のメルマガでは、運用者が毎回本文を作成して配信する、という手運用が入ります。しかし、トランザクションメールでは、そうした手間を省きながら、商品をアピールできるのが大きなメリットです」(北村氏)
仕組みとしては、エイケア・システムズのメール配信システムをリレーしてトランザクションメールを送るようにするというもの。同社のシステムがレコメンドエンジンと連携して、メールを送るユーザーにどんな商品・サービスをレコメンドするかを自動で判断し、指定のスペースに情報を掲載してくれる。
レコメンドエンジンの条件設定・チューニングはPDCAサイクルを回しながら考えていく必要があるが、最初にテンプレートさえ作っておけば、あとは手間要らずの運用が可能になる。HTML/テキスト形式のどちらにも対応しており、レコメンド情報を埋め込む欄を決めて指定しておけば良い。システム設定の手間も、最初に同社のシステムにトランザクションメールをリレーする等の簡単な設定をしておくだけだ。
また、MailPublisher Transactionを利用するメリットは、トランザクションメールでクロスセルがはかれる点だけではない。トランザクションメールは自前のシステムで配信しているECサイトも多いが、以前もこの連載で紹介したように、メーラーなどによる誤判定の影響によって、到達率が低くなってしまうケースが多々見受けられる(参照記事:普通に送っていても気が付けば迷惑メールに・・・。侮ると怖い迷惑メール誤判定の実態)。しかし、MailPublisher Transactionの場合、同社が長年の運用で培ってきたノウハウに裏打ちされたメール配信エンジンを利用しているため、誤判定対策も万全。ユーザーの受信箱へ届く配信到達率は、自社でやるよりも高くなるはずだ。到達しなかった分についても約500種類のエラー理由の中から未達の理由を探して原因をレポートしてくれるので、次回の配信に活かすことができる。
「もともと、金融機関などをはじめ、非常にクリティカルなメールを送信されている企業からは、当社の配信エンジンにリレーさせてトランザクションメールの配信到達率を向上させたいというニーズを、多く頂いていました。購入完了の通知などは、重要度の高いメールであるため、到達率を高められる点も大きなメリットになるのではないでしょうか」(北村氏)
さらなる売上アップを目指すECサイトには必須! 利用料金は月額数万円レベルから
システムはASPとパッケージの2つのプランから選んで導入できる。ASPの利用料金は、1通あたり1円からと、非常に手軽。レコメンドエンジンは、まずブレインパッド社の「Rtoaster」と連携し、順次、他のレコメンドエンジンへの対応を進めていく計画だという。レコメンドエンジンは別費用となるが、月額で数万円レベルの予算があれば実現できる。導入障壁は高くなく、かかる手間もさほどではない。
「特に、購入明細メールなどを頻繁に配信することの多い、ECサイトを運営している企業様にお勧めできるシステムです。当社が提供しているメール配信システムは、大手ECサイト様にもかなり使っていただいていますが、『今回のシステムのようなものが欲しい』という声を頻繁に頂いていました。競合他社さんに関しても同じことが言えますが、今まで我々メール配信システムのベンダーは、基本的に『大量配信するメールでのマーケティング』のニーズに応えていました。しかし、当社では今回のトランザクションメールを含め、今後はさらに幅広くメールマーケティングソリューションを提案・提供していく考えです」と北村氏は意気込みを語る。
メールマーケティングの対象者範囲を拡大し、運用の手間も掛からず、費用も月額数万円レベルからトライできる。2010年に一番のフロンティアとなり得るトランザクションメールを活用したマーケティングを見逃さない手はないだろう。
トランザクションメールの詳細資料が【エイケア・システムズのWebサイト】からダウンロードできます。
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