物販サイトの売上型コミッション設定
コミッション設定のバリエーションがいろいろあることは、ご理解いただけたでしょうか? 実際に自社のコミッションを決める際には、各社の収益構造やマーケティング戦略、ネット以外で販売代理制度を採用している場合にはそことのバランスなど、固有の要因も複雑にからみあってきます。当然ながら、「この業種ならこのコミッション料率」というような標準や、算出のルールがあるわけではありません。例えば、高いコンバージョン率を誇るECサイトならば、コミッション料率が多少低くても、アフィリエイトサイトは魅力を感じてくれるでしょう。内部的な要因と、同業他社が提示しているコミッション条件などの外的要因の両方を見ながら決めてゆくことになります。
まず物販の場合には、粗利の範囲内でどこまでアフィリエイトサイトにシェアするか、ということになってきます。
「太っ腹に、半分やっちゃうというのはどうよ?」「いえいえ、とんでもない。半分もあげちゃったら立ち行かないですよ…」
半分というのはともかく、売上から発生する利益をアフィリエイトとシェアするということについて、「どこまで払ってもよいか?」と悩むところでもあります。ただ、ここで少し考えてみてください。別に、今、既に売上があがっているものすべてが対象になるわけではないのです。あくまで、アフィリエイトを始めることによって増加する分の売上についてのみ、コミッションがかかってくるわけです。
LinkShareの花崎氏はこう語っています。
通常、アフィリエイトを行うことで2倍、3倍と売上が伸びるわけではない。今の売上規模を100%としたら、アフィリエイト経由での売上の純増はその何割か。その比率は最近増えてきているものの、通常、3割くらいまでだ。したがってアフィリエイトに対して5%のコミッションを支払ったからといって、売上全体の利益率がその分がくっと下がるわけではない。あくまでアフィリエイトを始めたことによって『売上増加』した分のみについてコミッションを支払うのだということを理解して欲しい。
時には長い目で考えることも大切
また、「ライフタイムバリュー」という発想で適正なコミッション率の上限を考えてみることも、時には必要です。
アフィリエイトサイト経由で初めて訪れ、商品を購入した顧客は次回以降はブックマークから直接やってきたり、あるいは自社が発行するメルマガ内のリンクから再び訪れ、二度目、三度目の購入をしてくれる可能性も十分にあります。
つまり、アフィリエイト経由でやってくるのは、通常初回のみです。その時の購入金額が仮に5,000円であっても、その後のリピート購入の可能性も考えると、アフィリエイトサイトはもっと大きな売上をもたらしてくれる新規顧客を送客してきてくれたことになるわけです。
リピート購入の可能性を重視する、あるオンラインショップでは、薄い粗利のほぼすべてをアフィリエイトサイトに提供しています。初回購入については赤字にならないぎりぎりラインのコミッションを支払うことで、アフィリエイトサイトのモチベーションを高めつつ、ポイント・プログラムやメールマーケティングなど、リピート促進の工夫に力を入れて、長期的には適正な利益を得るという発想です。