コレクションという独自の販売形態でリピート客をつかむ
ECサイトの運営をするなら、重要な指標の1つとなるのがリピート率。不景気の影響か、はたまたECの対象がコモディティにまで広がっているからなのか、楽天などでも1回当たりの購入金額は右肩下がり。長い目で見た客単価向上のため、同じユーザーにどれだけ繰り返し足を運んでもらえるかがECサイト運営の成否を大きく左右するようになってきた。
メールマガジン、タイムセール、Twitterなどがリピート率向上の施策として使われているが、もっと根本的なやり方で高リピート率を実現している企業がある。人気カタログ「haco.」などでも有名な神戸の老舗通販会社フェリシモだ。
同社の特徴は、「コレクション」という創業当初から採用している独自の販売形態。端的に言うと、毎月定期的に商品が届く頒布会形式なのだが、ブランドごとにラインアップされたパンツやシャツなどのシリーズを選び、毎月「継続するか、停止するか、あるいはコレクションするシリーズを変更して継続するか」と確認するシステムになっている。
フードなどを取り扱い始めるなど多角化も進めているが、フェリシモの取扱商品はファッション中心。服のサイズだけ指定して、色やデザインがどんなものかは、届くまでのお楽しみとなる。
同社eビジネス部 部長の島氏は、コレクション形式について、次のように分析している。
「通常のお買物とは違って、何が届くのかを楽しんでいただくお買物の形態だと考えています。シリーズは選べますけど、どんな物が次に届くのかは分かりません。誰かから贈り物をもらうような気持ちになれると評価いただいております。普段お店で手に取らないアイテムが届いたとしても、意外と気に入ってもらえ、新しい自分を発見できると喜んでいただける方もおります。好きなシリーズを選んでいただければ、コンセプトに基づいて当社のプランナーが自信を持って色柄やデザインを変えてご提案をするという仕組みです」
製品はどれも自社企画のOEM生産。発注量をコントロールしやすく余計な在庫を抱えないため、単価を抑えて良質な製品を届けることができると島氏は胸を張る。
「お客様の間では『フェリシモさん』と“さん”付けで親しみを込めて呼んでいただけておりますし、コレクションすることを『フェリシモする』とも言っていただいています」
人によってはコレクション形式への好き嫌いはあるかもしれないが、現在の利用客数は150万世帯。“世帯”で見るのは、職場のグループや家族、友人同士での購入が多いため。実際は150万人以上に利用されている計算になる。利用者の9割は女性で30代が中心と、買い物に一家言持つ層からの支持を勝ち得ているようだ。