さらに、リダイレクトは1回だけでなく複数回はさむことも可能です。ただし、あまり多くのリダイレクトをはさんだ場合、ブラウザ側で「これは何かおかしい」と判断してアクセスを停止してしまうことがあります。パソコン向けのブラウザの場合は、2回や3回くらいであれば問題ありませんが、携帯電話はかなり制限が厳しく、機種によっては2回までしかリダイレクトを許していないケースもあります。とはいっても、2回までしかリダイレクトができなかった場合でも、「広告の掲載サイトと代理店で2回リダイレクトをはさんで両方でクリック数をカウントする」といったことも可能です。

ただし「クリック数をカウントしようとして自分のページに貼り付けている広告にリダイレクトをはさんだら、実はその先で2回のリダイレクトがはさまっていて、携帯電話の機種によっては「広告が見られなくなってしまった」という事態に陥る可能性もあるので、注意が必要になります。
リダイレクトを使ったクリック数測定の例
実例を見てみましょう。アフィリエイト広告の中には、代理店が広告を募って、それらの広告が掲載を申し込んだサイトに表示されるというシステムがよく見受けられます。このシステムの代表格はGoogleのAdSenseでしょう。このような場合、広告を申し込んだ広告主も、実際に広告を貼り付けているページでも、クリック数の測定はしていません。ですから広告代理店の役割を担っているGoogleが、クリック数を測定しているわけです。AdSenseの広告のリンクを調べてみると、以下のようになっています。

これがまさにリダイレクトリンクの典型です。そのURLには、最終的にアクセスされるURL、つまりリダイレクト先のURLも含まれています。さらにこのリンクには、この広告を掲載しているサイトを認識するためのIDや広告自体を識別するIDコードも含まれていて、このアドレスにアクセスが行われると、Google側で「どこのサイトに掲載されたどの広告がクリックされたのか」ということを記録して、最後に広告主のサイトにリダイレクトを行うわけです。
これに限らず、さまざまな広告をチェックしてみると、最終的にアクセスするURLとリンクのURLが全く異なるケースがよくあります。これらはリダイレクトによってクリック数を測定しているわけです。なお、リダイレクトを行うメリットとしては、ほとんどのブラウザが対応しているため、クリック数がほぼ確実に取れるということが一番大きいのですが、それ以外にも転送ページはブラウザの履歴に残らない、という点もあげられます。
つまり、あるページに掲載された広告をクリックして、リダイレクトをはさんで広告主のサイトにアクセスした場合に、そのページからブラウザの「戻る」ボタンを押すと、すぐに広告が掲載されていたページに戻ることになります。

この場合は、利用者がクリックした広告にリダイレクトがはさまっていても、利用者は全く気にする必要がなく、例えば「広告をクリックして広告主のサイトに行き、目を通したら「戻る」ボタンで元のページに戻るといった作業にも支障をきたすことはありません。
Googleは利用者に気づかれないように…
ここまで広告のクリック回数測定を中心に、リダイレクトの仕組みがどのように活用されているのかを見てきました。最後に広告目的でなくても、どのリンクがクリックされたのかを知るためにリダイレクトを利用している例を紹介しておきましょう。代表的なものは「Googleの検索結果ページ」です。
 Googleではアカウントを取得してログインしている状態で、検索を行ったり、その結果からどこかのページにアクセスした場合は、その検索キーワードやアクセスしたページを記録しておいてくれる「検索履歴」というサービスを提供しています。
 このサービスでは、検索結果に表示されたページの中から、どのページがクリックされたのかを知る必要があります。そしてここにも、リダイレクトの仕組みが利用されているのです。Googleにログインして検索履歴を有効にした状態で、検索を行い、そのリンクを見てみると、以下のようなリンクになっていることがわかります。

これも、URL内に本当のアクセス先のURLなどが含まれており、いかにも「リダイレクトのためのリンク」といった感じになっています。これを利用してGoogleは検索履歴の保存を行っています。ただし、Googleはそのことを利用者がほとんど気づかないように、うまく隠しています。
通常ブラウザでは、リンクにマウスを乗せると、リンク先がウインドウの一番下などに表示されますが、GoogleではJavaScriptでその部分を書き換えて、最終的なリダイレクト先が表示されるようにしているのです。このおかげでリンクにマウスを乗せることでリンク先を確認している人でも、リダイレクトのことを気にすることなく使えるようにしているわけです。広告とは異なり、「検索結果」という、より道具に近い位置づけのリンクだからこそ、こうした工夫が必要なのかもしれません。
