人間中心設計のための評価手法
人間中心設計プロセスを実践する上で、「ユーザーと組織の要求事項の明示」ではユーザー分析を行い、「要求事項の設計に対する評価」では、サイトに対するユーザビリティの評価を行います。
手法としては、大きく2つに分類することができますが、完全に分けられるわけではなく、目的や実施の方法によっては、どちらにも利用できるものもあります。そのため、実際の評価では、場合に応じて手法を選択したり、組み合わせたりもします。
ユーザーの分析では、サイトのターゲットユーザーを特定した上で、その人が
- どんな人なのか?
- どんな目的でサイトを利用しているのか?
- どのようにサイトを利用しているのか?
- どういった機能やコンテンツを必要としているのか?
といった利用状況とニーズ把握を行います。
分析のためのデータ収集手法は、既存サイトに対するコンテキストインタビュー(コンテキスト調査法)、アンケート調査といったユーザー分析用に新たに調査を行う場合と、アクセスログ解析やVOC(質問、クレーム、改善要望など)分析など既存のデータを活用する場合に分けることができます。
ユーザビリティ評価は、設計プロセスの中で評価を行うもので、ユーザーによる評価であるユーザーテストと、専門化による評価であるヒューリスティック評価があります。
ユーザーテストでは、実際のWebサイト画面やプロトタイプに対して、ユーザーにタスクを実行してもらい、ユーザーがタスクを実行する過程を観察、記録します。ユーザーの実際の行動から、ユーザーがタスクを達成できるサイトになっているか? 達成するまでに回り道をすることがないか? 不満足の要因となる部分がないか? などのチェックを行い、問題点を発見し、改善へと活かします。
ヒューリスティック評価は、専門家がユーザーの行動を想定して、問題点を抽出していく手法です。設計プロセスの初期やプロトタイプに対して、想定したユーザーになりきって専門家が評価を実施することもあります。
それぞれの手法の具体的な話は、書籍やWebサイトでもいろいろと紹介されています(注1)ので、ここでは省略することにします。
『ユーザビリティエンジニアリング原論』ヤコブ・ニールセン (著)/篠原 稔和 (監訳) 東京電機大学出版局 2002年7月発行
『ISO 13407がわかる本』 黒須 正明, 堀部 保弘, 平沢 尚毅, 三樹 弘之 (共著) オーム社 2001年12月発行