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モバイル・マーケティング・エッセンス

先進性と世界観を生かす、
スマートフォンのマーケティング活用

 近年急速に人気を集めているスマートフォン。注目度が非常に高くWebサイトやアプリケーションの開発に積極的に取り組む動きが見られる一方、普及やユーザーの利用などにはまだまだ課題があることから、マーケティングやプロモーションといった活用はまだこれからという段階である。そこで今回は、モバイルデバイスとしてのスマートフォンの立ち位置と、現時点における活用の方向性について探ってみたいと思う。

スマートフォンの普及度合いは?

 まずはスマートフォンの現状について、改めて振り返ってみよう。矢野経済研究所が2010年5月11日に発表した「スマートフォン市場に関する調査結果 2010」によると、2009年のスマートフォンの出荷台数は194万5000台であり、前年(1360万台)と比べ43%の伸びを見せている。

 一方で、電子情報技術産業協会(JEITA)の2009年(1月~12月)における国内の移動電話(携帯電話、PHS)の出荷台数は、3130万3000台となっている。こちらは25.5%の減少となっている。

 調査結果はそれぞれ別のものとなるが、これらを比べてみると、スマートフォンの出荷台数が携帯電話全体から見ると5%を超える程度であるということが理解できる。iPhoneの人気でスマートフォンが非常に高い注目を集めているが、その普及度合いは決して高くないということが理解できるのではないだろうか。

 しかし一方で、先の矢野経済研究所の資料によると、2013年には571万台に達すると予測されている。携帯電話全体の出荷台数が3000万台程度で推移した場合は全体の2割となるが、携帯電話市場全体が停滞する中、スマートフォンは堅調に伸びており、勢いがあるというのは確かだ。

国内スマートフォン市場規模推移(矢野経済研究所「スマートフォン市場に関する調査結果 2010」より)
▲国内スマートフォン市場規模推移(矢野経済研究所「スマートフォン市場に関する調査結果 2010」より)

スマートフォンは誰がどの機種を使っている?

 では現在、スマートフォンはどのような層に利用されており、どのスマートフォンが人気となっているのだろうか。一例として、MMD研究所が2010年6月15日に発表した「スマートフォンの所有率、及びメイン携帯キャリアに関する実態調査」を挙げてみよう。

 これによると、スマートフォンの所有率は20.7%だが、男性が24.8%、女性が12.3%と男性が高く、職業別では会社員が28.4%、その他が8.2%となっている。また在住地域別の所有率では、首都圏を除く全国では12.7%となっているのに対し、首都圏では33.9%と大きく異なる傾向が見られる。

 この調査には年齢別の所有率は記述されていないものの、スマートフォン所有者は“首都圏在住で会社員の男性”が多いという、PCサイト利用者に近い傾向を見ることができる。最近では女性の利用者も増えているようだが、携帯電話とは異なり男性ユーザーが主体だといえる。

 では、実際利用されているスマートフォンはどの機種になるだろうか。インプレスR&Dが発表した「スマートフォン利用動向調査報告書2010」によると、最も利用しているスマートフォンはiPhone 3Gが24.6%、iPhone 3GSが21.5%となっており、iPhoneの利用率が4割強を占めるという状況である。

 この資料は昨年12月に発表されたものであるため、XperiaやiPhone 4が発売された現在では動向が変化している可能性もある。だが現時点の販売状況などを見ても、スマートフォンの中ではiPhoneが最も高い人気を博しているという傾向に変わりはないといえよう。

スマートフォン所有率(男女別) (MMD研究所・「スマートフォンの所有率、及びメイン携帯キャリアに関する実態調査」より)
▲スマートフォン所有率(男女別)
(MMD研究所・「スマートフォンの所有率、及びメイン携帯キャリアに関する実態調査」より)
スマートフォン所有率(職業別) (MMD研究所・「スマートフォンの所有率、及びメイン携帯キャリアに関する実態調査」より)
▲スマートフォン所有率(職業別)
(MMD研究所・「スマートフォンの所有率、及びメイン携帯キャリアに関する実態調査」より)
スマートフォン所有率(在住地域別) (MMD研究所・「スマートフォンの所有率、及びメイン携帯キャリアに関する実態調査」より)
▲スマートフォン所有率(在住地域別)
(MMD研究所・「スマートフォンの所有率、及びメイン携帯キャリアに関する実態調査」より)

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この記事の著者

佐野 正弘(サノ マサヒロ)

エンジニアとしてゲームや携帯コンテンツなどの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターへと転身。若者のケータイ文化からスマートフォンまで、携帯電話に関する多くの著書を手がけるほか、講演やテレビ等へのコメント等も行っている。近著に「Touch Diamond&Touch Pro 入門ガイド」(翔泳社)「ケータイで稼ぐアフィリエイト 最新情報版」(技術評論社)など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/09/30 10:00 https://markezine.jp/article/detail/10947

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