盛り上がりを見せるフラッシュマーケティング
「フラッシュマーケティング」は、一般的にはECサイト上に並べられている商品を時間制限つきで割引して販売することを言う。しかし、Grouponに代表されるクーポン共同購入サイトでは、購入申込者に規定人数を設け、“時間内に規定人数まで達すれば取引(ディール)成立”という方式をとり、ソーシャルメディアの隆盛を背景に爆発的な成果を生み出している。
まず、規定人数に達しなかった場合は申し込み自体がなかったことになるため、企業側にも購入者側にもほとんどリスクがない。また、購入申込者は、規定人数に達すれば破格の割引で商品を購入できるため、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを使って、対象商品をネット上でプッシュする。企業側にとっては、ソーシャルメディアを通じて半自動的に商品が紹介されるので、従来の販売促進に使っていた広告費を大幅に抑えられ、その分値引きができるという、うまい仕組みだ。
実際、8月には米GapがGrouponで大規模ディールを実施し、初日で15億円を売り上げたと報道されるなど、このクーポン共同購入システムは、驚異的な宣伝効果と集客力で企業のローカルビジネスを加速させている。また、Grouponは米メディアで「史上最速で成長したネット企業」と報じられるなど、すさまじいスピードで成長している。日本においても同様のサービスが展開され始め、利用者の数も目覚しい勢いで伸びてきている。
新しい形のクーポン共同購入サイト「品品プレミアムモール」
こうした状況下で、9月13日にオープンした「品品(シナジナ)プレミアムモール」は、クーポン共同購入サイトでありながら、ショッピングモール型という日本初の新しいスタイルを取っている。ショッピングモール型というのは、ひとことで言ってしまえば、出店企業がクーポン共同購入サイト内に自社・自店の専用ショップを持ち、自由にディールを実施できる仕組みだ。
同社の代表取締役社長 中村壮秀氏は、新サービスを作ったきっかけについて次のように語る。
「当社では2008年より、クチコミマーケティングサイト『モニプラ』を運営してきました。このサービスは、モニターサンプリングなどを中心に、出展企業がおのおのブログマーケティングを運営していくことができるというものです。
しかし、近年のTwitterなどの普及により、リアルタイムで人がつながってきているというのを強く感じていました。ソーシャルパワーとでも言うのでしょうか。このパワーを使って、今まで企業が広告に使っていた予算をユーザーに還元できないか。また、Twitterなどの場合、サンプリングよりもこういった実売タイプのサービスの方が向いているのではないか、という考えのもと品品プレミアムモールをリリースしました」
リスクを押さえ、好きなタイミング・オファー内容でフラッシュマーケティングが実施可能
“通常のショッピングモールに出店するような感覚で、各店舗がフラッシュマーケティング施策を行えるように”というコンセプトで作られたという品品プレミアムモール。現状のクーポン共同購入サイト(以下、従来型)との大きな違いの1つは、前述のとおり出店企業がサイト内にショップを各自で持ち、好きなタイミング、オファー内容でディールの設定・実施ができる点にある。
従来型サービスのフローでは、コンテンツを出品したい場合、まずサイトの運営企業が販売したい企業を取材し、コンテンツを表示、そして実施という各段階を踏んでからの出品となる。また従来型では、エリアやカテゴリごとに「1日に1商品」の取引を基本としている場合が多く、販売する企業側は、旬なコンテンツを提供するのが難しい。
一方、品品プレミアムモールの場合、急なキャンセルがあったホテルの代表者の「なんとか明日の空き室を埋めたい」といった要望に応えることができる。また、実施利用料は、成果報酬をベースにしているため、広告宣伝のリクスが低くなるというのも大きなメリットの1つだ。