他社CMSからの移行の実際
次のセッションは、技術部 木村潤 氏による『例えば、TeamSite(Interwoven)からの移行』。
佐藤氏のセッションにあった4つの移行方法のうち、FlexImportを使う“A.既存サイトをそのまま移行”と、XMLPostを使う“B.既存サイトをアセット化して移行”という2種類の方法を用いたサイト移行について、Interwovenが提供するCMS『TeamSite』を題材とし、具体的な移行方法が語られた。
冒頭、木村氏はTeamSiteを使ってサイトを運用する場合は、大きく分けて次の2つのパターンがあると語った。
- コンテンツ制作を外部の制作会社に依頼し、社内の担当部門が、納品管理、配信管理を行っているパターン
- TeamsiteのTemplateという機能を利用し、社内のコンテンツ担当者がTeamSiteのフォームを使ってコンテンツ運用・管理をしているパターン
どちらのパターンで運用を行っているかによって、Content Serverへの移行方法は変わってくる。前者の運用方法であれば、FlexImportを使う“A.既存サイトをそのまま移行”で移行を行うこととなり、後者であれば、XMLPostを使う“B.既存サイトをアセット化して移行”で移行を行うというわけだ。
続いて、木村氏は、TeamSiteで構築されたNASAのサイトを例に、FlexImportを使って丸ごと読み込むデモンストレーションを行った。
まず、サイトのコンテンツをZIPファイル化する。このZIPファイルをFlexImportの一括取り込みメニュー使用してインポートすると、Content Serverにはファイル構成やディレクトリ構造を再現された状態で登録された。
取り込んだデータは一覧表示され、その履歴も確認できるようになっている。取り込み後のプレビューでは、現状のサイトと同じ見た目、動作を再現できることが説明された。
次は、XMLPostを使ったアセット化の移行。この方法では、TeamSite側のコンテンツを、XMLPostに対応したフォーマットのXMLに出力するが、あらかじめContent Server側でどういたコンテンツを取り込むかを定義する必要がある。
木村氏は、テニスウェアのカタログ情報を例に定義を説明。スポーツ用品の登録に利用できるすべての項目の一覧から、テニスウェアに必要な項目を選択すると、それに対応したデータの受け入れ先が自動生成される。
商品の性格に応じて入力項目を自在に設定できるし、運用開始後の項目の追加・削除・変更など柔軟に対応できるという。あとは、TeamSite側でこの定義に沿ってXMLを出力し、XMLPostで取り込む。
取り込んだあとも、WYSIWYGエディタを使った編集が可能で、コンテンツの中身だけでなく、サイトのヘッダーやフッターといったテンプレートの編集もできる。商品ページの編集はほかのCMSでも可能だが、Content Serverならトップページやその他のページで表示される、リスト化された情報をコンテンツの一部として取り扱うことができると木村氏はアピールした。
他のCMSの場合、リストはページとして管理する場合が多いが、コンテンツとして管理することで、並び替えも自在にできるという。こうした機能は、期間限定のキャンペーンや新商品をもっと露出させたい場合などに効果を発揮する。
このほか木村氏は、Content Serverの機能として、iGoogleのガジェットでのコンテンツ配信機能も披露した。なお、今回木村氏が行ったデモンストレーションは、Amazon EC2上の仮想マシンにContent Serverをインストールして行った。Content Serverは、Amazonだけでなく、国産のクラウドサービスにも対応しているという。
Web Experience Managementを実現する、FatWireのサービス
木村氏のセッションの後は、サイト移行の支援サービスである「FatWire Professional Service」と、新サービスである、「FSG(FirstSiteGlobal )」がそれぞれ紹介された。
Content Serverを導入したサイトの移行をスムーズに行うための支援サービスであるFatWire Professional Serviceは、グローバル企業であるFatWire自身のナレッジが蓄積されたサービスだ。前述の4つの移行スタイルごとに異なる支援を行い、TeamSiteで管理されたサイトやDreamweaverテンプレートからの移行も対応可能だとした。
FatWireの新サービスである、FSG(FirstSiteGlobal )は拡張性のある、グローバルなサイト構築をサポートするためのエントリーパッケージ。FSGには、FatWire Content Server 7.5(5CPUライセンス)とFlexPublisher:(1Serverライセンス)がバンドルされ、ライセンス料は777万円(税抜き)だ(詳細:プレスリリース)。
CPUライセンスとは、FatWire Web CMS製品をインストールするJ2EEアプリケーション・サーバのCPU数に応じたもの。他社製CMSにあるようなユーザー数、サイト数、テンプレート数、ページ数の制限はない。
冒頭の講演に続き、FSGの紹介を行った佐藤氏は、ウェブサイト管理は、コンテンツの管理だけでなく、ユーザー体験にも配慮する「Web Experience Management」の方向にシフトしているとし、FSGと他社CMSからの移行サービスがその入り口になると伝え、次世代のウェブ管理を見据える必要を説いた。