代理店に運用を任せるデメリット
続いて、代理店に運用を任せるデメリットを見ていきましょう。デメリットは、逆に考えれば自社で運営するメリットと言えます。主に次の4つを挙げることができます。
- 代行手数料がかかる
- わずかな対応にも時間や費用が掛かる場合がある
- ノウハウが自社に溜まらない
- 担当者のリテラシー次第で効果が大きく左右される場合も
代行手数料がかかる
代理店に検索連動型広告の運用代行をお願いすると、手数料が発生します。そのため、代理店へ支払う費用と広告費を合わせた金額から費用対効果を見極めなければなりません。以前は“消化した予算の●%”という形態が多かったですが、最近では“固定費”や“成功報酬”という形態で請け負ってくれる代理店も増えてきています。
わずかな対応にでも時間や費用が掛かる場合がある
キーワードの追加や、広告文の追加だけで追加料金が掛かる料金体系の代理店もあります。
キーワードを追加したり、広告文やリンク先URLを変更・追加したりといった作業は、検索連動型広告を最適化するためには必ず必要になります。そのため、こういう料金体系の場合は、アカウントの最適化に基本料金の他に追加料金がかかってしまいます。修正のたびに料金支払いの義務がある場合は、いくらかかるかなかなか予測がつかないため、少なからずリスクがあることを忘れないようにしておきましょう。
また、代理店ごとに対応にかかる時間にも違いがあり、少しの対応にも“3営業日かかります”と言われる場合もあります。施策の内容によっては即時対応が必要なケースもあるので、あらかじめ緊急時の対応について確認しておくことは重要です。
ノウハウが自社に溜まらない
実務を外注してしまう以上、検索連動型広告運用に必要なキーワードの探し方や登録方法、入札単価の決め方などのノウハウを自社内で完全にストックするのは難しいでしょう。
そのため、いつまでも検索連動型広告代理店に依存してしまい、半永久的に手数料を払い続けなければなりません。また、自社内にノウハウが溜まっていない場合、新しいサービスや商品を販売する、取り扱うようなことがあっても、代理店にお願いすることになります。利用する広告予算によっては、自社内で担当者を育成した方が予算を安く抑えられるケースもあります(ある程度の知識を得た担当者が退職してしまうというリスクとは、常に背中合わせですが…)。
代理店にお願いする場合であっても、レポートの報告だけで終わりにするのではなく、施策についての不明な点に対しての質問や提案などは随時行ってみましょう。さまざまな質疑応答を繰り返しながら、知識を吸収していくことで、自社の担当者の検索連動型広告への理解が深まります。
担当者のリテラシー次第で効果が大きく左右される場合も
いくら評判がよい代理店にお願いしたとしても、担当としてついてくれた人のリテラシー次第で成果が大きく異なこともあります。凄腕の担当者であれば良い結果が待っているかもしれませんが、運悪くそうでない担当者が付いた場合、思っていたような成果がでないこともあります。また、前月の報告しかしない担当者もいれば、今後の成功への道のりを示してくれる担当者もいます。
そのため、可能であれば担当者と直接会って話してみることが重要だと、筆者は考えます。営業担当だけではなく、実際に施策を行う担当者とも会って話し、本当に良い担当者を探してみてください。良い担当者というのは技術に優れているというだけではなく、何よりもクライアント目線で物事を考えられる担当者です。
代理店を選ぶ際に聞くべきこと
代理店に運用を任せる場合と自社で運用する違いを書きましたが、やはり代理店にお願いしたい、という方々も多いのではないでしょうか? そこで、“代理店を選ぶ際に聞くべきポイント”も記載しておきます。
どんな施策を想定しているのか?
まずは話してみることが重要ですが、その際にどのような施策を想定しているのかを具体的に聞いてみてください。ただ単にCPA(顧客獲得単価)を下げます、獲得数を増やします、という話だけでは信憑性が薄く、話のうまい営業職の方であればなんとでも言えてしまいます。
あらかじめ明確なゴールを伝え、そこから導きだされた具体的な施策を提示してもらうことで、より自社にあった代理店を見つけることができるようになるでしょう。これらの一連の流れは、何よりもあなたの会社のことを理解してもらえることがメリットでもあります。
他にも契約体系や担当者は何人か、土日や年末年始などの連休時の対応についてや時間帯配信対応についてなど、さまざまな細かい項目なども挙げられますので、自社に合わせた質問も加えていくと良いでしょう。
また、中には手数料の安さだけを訴求してくる場合もありますが、価格だけで依頼先を決めるのもあまりお薦めできません。どうしても懐と相談しなければいけない場合などは、“誰が施策を行うのか?”を明確にしてもらい、投げっぱなしにしないことが重要です。
その他の細かいポイントに関しては、筆者のブログエントリー「リスティング広告を外注する場合のリスティング広告代理店の選び方、7つの視点」を参照ください。
代理店利用と自社運営の違い:まとめ
今回挙げたとおり、検索連動型広告を代理店に依頼するのは、良い面もありますし、そうでない面もあります。これらの内容を踏まえ、自社に合った検索連動型広告の運用スタイルを探し出しましょう。
代理店に任せるという選択肢を選んだ場合、筆者が考える本当に良い代理店とは、自社が抱えている悩みや、達成したい目標に合わせて施策に取り組み、一緒に成長することを目的としてくれるところだと思います。
MarkeZineでの連載も今回で最終章になります。今まで読んでいただいた皆さま、ありがとうございました。またどこかでお会いできることを祈りつつ、この最終章を執筆しました。これからもまだまだ検索連動型広告市場は成長していくでしょう。そんな今だからこそ、より良い検索連動型広告への取り組みを願ってやみません。
