Analyticsへの取り組みで企業の成長力に顕著な差。分析力が競争優位性の源泉に
「分析力を武器とする企業」。そうなりたいと願っている企業は多いだろうが、具体的に何をどう変えていけば、自社が「分析力を武器とする企業」だと胸を張って言えるようになるのだろうか?
アクセンチュア株式会社 経営コンサルティング本部 CRMグループの北條一馬氏がMarkeZine Day 2010 Premiumで紹介した「Analyticsを企業の意思決定の中心に据えるための5ステップ・モデル」は、その答えの1つになるのかもしれない。
北條氏はデータ(Data)、エンタープライズ(Enterprise)、リーダーシップ(Leadership)、ターゲット(Target)、アナリスト(Analyst)という5つのステップから企業におけるAnalyticsの成熟度合いを測るモデルを提示。そして「現状の『見える化』から未来の『先手・予防化』へ」と分析力を活用するポイントを移していくよう、MarkeZine Day Premium 2010の会場で呼び掛けた。
「われわれの最近の調査によると、経営判断の40%はデータや事実に基づかず、勘や経験に基づいて行われています。そういう状況ですのでAnalyticsが伸びる余地はまだまだあるのではないでしょうか」と北條氏は企業における意志決定の現状を分析。データや事実に裏打ちされた予測を基に意志決定を行うなど、先進的なAnalyticsに取り組んでいる企業と一般的な企業とを比べた場合、先進的な企業の方が業績の伸びが著しく、競争優位性を有しているという。日本国内でも既に生命保険/損害保険、自動車保険、クレジットカード、ECなどの各業界で、分析力を活かしたさまざまな成功事例が生まれつつあるという。
競争優位を築くため、“見える化”から“先手・予防化”へ
ただ「Analytics」とは言うが、“見える化”のために行うレポーティングと“先手・予防化”のために実施するAnalyticsは別物だと北條氏は注意を促す。
企業でのデータ分析は、定型でのレポート報告から始まり、予測モデルを立てて今後の動向を予測したり、最適化を図って売上増を狙う施策を打ったりするようになっていく。そのように洗練されていく過程で特に大きな差を生むのが、レポーティングとAnalyticsの境目。売上に寄与するかどうかが大きな違いになるのだという。
「レポーティングで売上を伸ばすところまで寄与することはなかなか難しい。そこで予測型のAnalyticsで先手を打ち、売上に直結していけるところまで踏み込んでやる。今後はAnalyticsの方が、より中心になっていくと思います」(北條氏)
さらに、Analyticsという言葉からは、ビジネスインテリジェンスやデータウェアハウス、データマイニングといったシステム面がクローズアップされがちだが、Analyticsを成功させるためには、先に挙げた5つのステップのようなさまざまな要素が必要になるのだとも語る。
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