表示順位が絶対的な指標ではなくなったSEO
オンラインのビジネスを行う上で、もはや当たり前の施策となったSEO。しかし、検索時の表示順位で一喜一憂していたのは、もはや昔の話。近年の検索エンジン各社におけるユニバーサル検索や個人別表示の導入、ソーシャルメディアを含めた顧客接点の多様化にともない、“最終的な売上につながったか?”“他施策を含めてROI(投資収益率)はどうか?”といった総合的な評価基準が重要視されはじめている。
この流れに真っ先に布石を投じたのが、広告効果測定ツール「アドエビス」を提供するロックオンだ。同社は、アドエビスの新オプションとして、SEOの効果測定を可能にする「SEOエビス」を2010年末にリリースした。このオプションをいち早く導入し、活用を進めているHMVジャパンの、マーケティングソリューション推進室長 貞苅勝範 氏に導入の背景や狙いを伺った。
顧客への利便性を追求しながら成長を続けるHMV ONLINE
全国に33店舗を構えるHMVジャパンは、オンラインショップでも高い収益を挙げている成功事例として一目置かれる存在だ。1999年にPC向けのオンラインショッピングサイト「HMV ONLINE」を、2000年にモバイルショッピングサイト「HMV MOBILE」をスタートさせるなど、他社に先駆け、早くからEC事業に注力してきた。また、2007年6月には店舗とオンラインでの会員データを統合し、強い顧客分析基盤を構築することに成功。そのデータを活用し、先進的なWebマーケティングの試みを続けている。
現在、HMV ONLINEは、取扱商品数約320万、月間PV約5000万~6000万、ユニークユーザー数約250万~約300万という巨大サイトに成長している。HMVジャパンの中での、オンラインショップの位置付けについて、貞苅氏はこう語る。
「店舗は実際にお客様が商品を手に取り、すぐに購入できる窓口機能を担う場所と認識している。その場で音楽が聴けて、イベントでアーティストに会えるなどリアルな窓口となる。一方で、店頭に全在庫を置けるわけではないので、オンラインがこれを補完するなど、相乗効果を発揮できる。また、何軒も店舗を回って商品を探すよりも、オンラインでは検索して購入できるといった利便性もある。当社としては、店舗であろうが、オンラインであろうが、スマートフォンを含めたモバイルであろうが、お客様の一番利便性の高いところで購入できるようなマルチデバイス化を進め、各デバイスに即したインターフェースを用意し、使っていただくことが大切だと認識している」
PCとモバイルの売上比率は、現状、7対3程度で推移。しかし、成長率ではモバイルの方が高いという。これは、2009年末に店舗の在庫検索などの機能をモバイルサイトに追加し、店舗の窓口として位置付けたことで、徐々にモバイルでの商品検索からコンバージョンにまで至る流れが構築されてきているのではないか、と同社では分析している。