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担当者に聞く! 成功キャンペーンの裏側

華よりも実を取った訴求で新しい価値を伝える
Adobe Acrobat Xキャンペーンの裏側

広告予算を“100%デジタル”に。トップの指示に現場はどう対応したか

 固定ファンが付いている製品で新しい価値を訴える。Acrobatの課題を考えるとWebでの訴求よりも紙媒体などのマスメディアを使った広告の方が効果的な気もするが、今回のキャンペーンは、すべてWebで展開している。

 これには、アドビ システムズ社内の広告予算の配分が紙からWebに大きくシフトしていることが背景にある(参考記事:「100%デジタル化以外、ありえない」変貌を遂げるアドビ システムズのマーケティング総責任者が描くマーケティングの近未来)。成果がデータに基づき分析・評価できない施策は、採用しないというのが会社全体としての意向だ。以前は、7:3程度の割合で紙の予算の方が大きかったものが、Acrobat 8以降はほとんどがWebに移行した。こうした状況を、現場ではどのようにとらえているのだろうか。

「やはりビジネス向けの製品を訴求するには、紙媒体を無視できません。しかし、どこの企業も同じだとは思いますが、予算には限りがあります。例えば、新聞広告を打ったとしても、単発で終わってしまってはメッセージを定着できず、あまり意味がありません。であれば、デジタルに予算をまとめた方が効果的なのではないかと考えました。」(藤田氏)

「紙の読者は知識、興味とも様々ですし、デジタルでの情報収集から遠い方もいらっしゃいます。Acrobatはあくまでパソコンソフトですから、デジタルで情報収集をしている人の方が、パソコンソフトを使って効率化ということを考えやすいのではないでしょうか」(鈴木氏)

 一方、予算がすべてWebに移行したことで、新たな悩みの種となったのが、ビジネスユーザーにリーチできるメディアの数が限られていること。Twitterなどのソーシャルメディアの活用も検討したが、「TwitterでAcrobatについてつぶやいているのはデザイナーの方が大多数で、ビジネスユーザーはほとんどいないようでした。そしてソーシャルメディアに取り組むなら本気で取り組まないと痛い目に遭ってしまう。投資するだけの効果を見出せませんでした」(鈴木氏)

 今回のキャンペーンでは、大手ビジネス誌4媒体との共同タイアップ企画を展開。一媒体につき一人、ターゲット層に支持されているプロフェッショナルへのインタビュー記事が用意され、各記事からサイトへの誘導を促した。

 また、社内での議論の結果、読者数が数千~数万人程度で、ニッチな専門媒体への出稿も試してみることにした。パフォーマンスが良かった媒体もあれば、悪かった媒体もある。ただ、今回のゴールが事例PDFのダウンロードだったこともあってか、ビジネス書を紹介するメールマガジンでは驚異的なコンバージョン率を叩きだした。

華はなくても実はある。従来よりも好調な出足に

 さまざまな課題を抱えながらも、実直にユーザー目線で訴求する試みは功を奏し、ターゲットとしているミドルマネジャー層に対する効率化機能の訴求は、着実に成果を挙げてきている。

「今回は、島耕作の時のように周りから『すごい』と評価されているわけではありません。しかし、記事閲覧後の資料ダウンロード率が平均よりも良いパフォーマンスを示しています」(藤田氏)

「リーチできた方にはAcrobatの可能性に気付いていただけているようです。アンケートの結果を見ても、5割くらいの方に『Acrobatに業務効率改善の機能があると知らなかった』と答えていただけています。また、安価なスタンダードエディションより、機能をフルに使えるプロエディションの方が購入されている傾向にも、手ごたえを感じています」(鈴木氏)

 量より質。華よりも実を取る戦略で、島耕作を起用した前バージョンよりも、Acrobat Xは好調な売上を記録している。

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この記事の著者

中嶋 嘉祐(ナカジマ ヨシヒロ)

ベンチャー2社で事業責任者として上場に向けて貢献するも、ライブドアショック・リーマンショックで未遂に終わる。現在はフリーの事業立ち上げ屋。副業はライター。現在は、MONOistキャリアフォーラム、MONOist転職の編集業務などを手掛けている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2011/03/04 11:00 https://markezine.jp/article/detail/13436

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