アクセス解析を活用し、目的である事例の閲覧を促すようにリニューアル
そうしたコンセプトに基づき、当初、Acrobat Xのキャンペーンサイトでは、“実際に業務の中でAcrobatを役立てているユーザーの生の声がたくさん載っている”という見せ方を目指した。ファーストビューで多数のユーザー写真を横方向にスクロールさせ、写真にマウスオーバーすると活用事例の概要が出現、クリックすると詳細ページに飛ぶような設計にした。

サイトの目標が、Acrobat Xでどのようなことが実現できるかを理解してもらう、ということだったので、KPIは訪問者数と詳細ページの閲覧状況、そして、ユーザー事例や著名人へのインタビューコンテンツをまとめたPDF資料のダウンロード数に設定した。

キャンペーンスタート後、それほど悪くないパフォーマンスだったが、サイトに訪れたユーザーの動きを詳細に解析したところ、トップページから事例ページに移行する人の数が少ないことが分かった。「いろんな人が使っている、というコンセプトは伝わったようですが、写真をクリックすると詳しい事例を見られるということが思ったとおりには伝わっていなかったのです」(鈴木氏)。当初からの目的は、活用事例を見てもらうこと。その目標が達成できていなかったため、サイトをリニューアルすることに決めたという。
リニューアル時に意識したのは「こちらから意図的に順番を示す」(藤田氏)こと。業務を効率化するための情報を、読んでもらいたい順番に目立つようなレイアウトにした。
シンプルな構造にし、事例などの詳細ページにユーザーが遷移しやすい設計にした

マーケティング担当にこそ使ってみてほしいAcrobat
こうした迅速なサイト改善に一役買ったのは、実は訴求製品であるAcrobatだったと両氏は語る。今回のキャンペーンサイト制作・変更時のチェックや広告出稿時の校正などの、ほとんどの作業がAcrobatを使って行われた。Acrobatで業務の効率化できるというのは、マーケティングの現場で藤田氏と鈴木氏自身も実感していることだという。
例えば、キャンペーンサイト制作時、デザイン会社から送られてきた案に対して、“ブラウザ画面をキャプチャしてPowerPointやExcelに保存してコメントを付ける”、もしくは“プリントアウトした紙にペンで書き込んでFAXで送る”“テキストは別途コピー&ペーストでWordファイルに移して修正指示を書き込む”といったやり方をとっている方も多いのではないだろうか。アドビ システムズ社内では、こうした作業はすべてAcrobatを使って行っているという。
Acrobat Xでは、ブラウザのツールバーに表示されるボタンを押すだけでPDFに一発変換できる。元のレイアウトをほぼ完璧な状態で保持したまま変換でき、レイアウトをテキストやリンクなどは、画像ではなく、すべての元のHTML要素と同じようにファイル内で扱えるため、文章内の修正したい箇所だけに線を引いてコメントを入れたり、リンク先ファイル内で確認したりなど、紙で修正指示を書き込むように扱うことが可能だ。
修正箇所と文言を、直接指示できるため、ミスが少ないという

共有レビュー用の機能も備わっており、複数人での確認作業時などにも、回覧時間の短縮につながるという。作業を分担したり、誰かが書き込んだコメントに対して「同意します」「ここは方針変更があったので、このままでいいです」といった返信を付けるといった使い方が可能だ。サイトのレイアウト変更など、今回のキャンペーンで実施した作業も、ファイル共有サイト「Acrobat.com」との連携機能を使って外部スタッフともファイルを共有しながら、各メンバーが同時に進めたという。
「共有レビューで付いたコメントがリストで一覧表示される点が非常に便利ですね。プリントアウトして紙にコメントを付けていたりすると、見落としたり、コメントが密集することで見辛くなったりしますが、Acrobat Xでは、コメントがリスト表示されます。制作会社の方々も、リストを上から順に1つずつ潰していけるので、修正指示の反映漏れもほとんどありません」(藤田氏)
また、PDFだからこその利点もある。画像の差し替えを指示する時には該当個所に直接ファイルを挿入して指定でき。Flashなどの動画ファイルにも対応しているため、「Flashのここの内容をカット」「動きをもっとゆっくりに」といった指示を加えると、タイムラインに沿って何秒から何秒の内容に対する指示なのか、自動で示してくれる。
テキスト・タイミング・イメージなど要素が複雑なため、指示を出すのが難しいこうしたサイトのメインイメージやバナー広告などのチェックにも重宝しているという

Acrobat Xで実現できる業務の効率化。鈴木氏と藤田氏はマーケティング担当という立場から、同じマーケティング担当の人にこそ、試してみてほしいと訴える。