Demdex買収の意図と意味
アドビ システムズが1月に買収を発表した、オーディエンスデータ管理プラットフォームを提供する新興企業Demdex。Web上や公式サイトにはほとんど情報がないため、この買収の意図と意味がよく分からなかった。そもそもDemdexはどのような企業で、何のサービスを提供しているのか?
まず、Demdexのソリューションで前提となる課題は下記の通り。
- タグが増えると、管理が大変になるだけでなく、ページの読み込み時間も増えてしまう
- 環境やページ、次期によって特定のタグを外したいが、手動だと煩雑なため対応が難しい
- データがいろいろなシステムに分散しているため、管理や集計が大変
- オプトアウトの手段も分散するため、プライバシー対策が不十分
いろいろなサービスやシステムを積極的に活用する米国らしい課題だ。
確かに、アクセス解析ツールを複数導入し、広告やアフィリエイトを導入すると、タグが同じページにいくつも入ることになる。特に購入や資料請求の完了ページでは、成果を各種システムへ送信するため、タグがたくさん入っているサイトが多いのではないだろうか。
どの部署の誰がどのページへ何のタグを入れたのか? まだ使われているのか? タグが増えて担当も増え人事異動を繰り返していくと管理できない状態になりがちだ。
タグ管理とは
そこで、Demdexが提供する機能の1つ目が「タグ管理」だ。
以下のような共通タグを1つ各ページに入れるだけで、他のタグは不要になる。
複雑に見えるが、Google Analyticsと同じ方式であり、外部JavaScriptファイルを1つロードしているだけだ。各ページに記述する必要がなくなった複数のタグは、Demdexのサイトにログインし、管理画面上で指定していく。
以下のように管理画面上のフォームにタグを入力し、名前や説明文を入力できる。挿入する箇所(head内/body最後/ロード完了時)や、表示条件、表示時間を指定することもできる。
ユーザーがページを閲覧した時に、DemdexのJavaScriptコードが実行され、条件に合致するタグのみがHTMLソース中に挿入される。Ajaxのような非同期処理も可能で、その場合はページの描画が優先されるため、ブラウザの表示パフォーマンスへの影響を抑えられる。
タグの表示期間指定は、A/Bテストの時に便利そうだ。テスト期間だけ、特定または全ページにTest&Targetなどのタグを埋め込むのは、IT部門との調整だけでも時間がかかってしまう。最後に入力内容を確認し、ステータスを「Active」(有効)にすれば、タグの配信が開始される。
Demdexはオーディエンスデータを収集・管理すると同時に、プライバシー対策にも力を入れている。データ収集やターゲティングを望まないユーザーは、DoNotTarget.comというサイトにアクセスすると、Demdexを利用する顧客のサイトにおけるターゲティングを停止することができる。