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MarkeZine Day 2011 Springレポート(AD)

“あなただけ”の演出を自動化
最新レコメンデーション活用事例

 One to Oneマーケティングが見直される昨今。もしかしたら、あなたが普段見ているWebサイトやメールも、あなたのためだけにパーソナライズされたものかもしれない。MarkeZine Day 2011 Springでは「マルチチャネルで一貫したレコメンデーションを実現 Web,Mail,店舗でのCRM実現事例」と題し、レコメンデーションを活用した最新事例を中心に、株式会社ブレインパッド 市川 秀樹氏による講演が行われた。(バックナンバーはこちら)

レコメンデーションでこんなに変わる!数字で見る実力とは

 レコメンデーションをイメージするには、Amazonを思い出してもらうのが、最も手っ取り早い。サイト内でも、メールでも、自分の閲覧履歴や購買履歴にもとづいて、ひとりひとりカスタマイズされた商品を提案された経験があるのではないだろうか。

 市川氏は「レコメンデーションを導入すると、目に見える形でその効果がわかる」と、同社の実績から、一般的な数字を公開した。

株式会社ブレインパッド 市川 秀樹氏
株式会社ブレインパッド 市川 秀樹氏
講演資料より掲載(以下、同)
講演資料より掲載

 『Webサイトでのクリック率』は、レコメンデーションを導入することで、平均40%向上するという。『メールの開封率』については、htmlメールを前提としているが、こちらも50%向上する結果に。『メールでの購入率』では、一斉送信型のマスメールを対象として計測している。このコンバージョンレートに幅があるのは、細かくセグメンテーションを行うかどうかで大きく異なってくるから。

 「母数が減っても、リストを属性に合わせて細分化した方が、レコメンデーションの効果は上がる」(市川氏)

 『店頭情報端末での購入率』は、CDショップや本屋の検索端末や、コンビニのLoppiやFamiポートのようなタッチパネル式のデバイスでの実績となるが、決済機能を持たないサービスであるため、閲覧ベースでの購入率という表記になっている。市川氏は、それぞれの詳しい事例は後ほど紹介するとし、まずは数字をもってレコメンデーションの実力を伝えるにとどめた。

オンラインで『おもてなし』データからユーザー心理をとらえる

 レコメンデーションとは、デジタルな世界での「おもてなし」である、と語る市川氏。

 「人には『特別な扱いをされたい・自分に興味を持ってほしい・自分を好きになってほしい・大切に思われたい』という欲求がある。お客様の嗜好を把握・訴求した上で、One to Oneマーケティングのレコメンデーションの技術を使えば、お客様と直接コミュニケーションを取れないオンライン上でも、「もてなされた」と感じてもらうことができる」

 しかし、Amazonのように膨大な量の商品数があれば、レコメンデーションを行う意味もありそうだが、商品数が少ないところでは不必要なのではないだろうか。「確かに商材が多いところに適しているイメージがあるかもしれないが、商品数が少ない企業でもレコメンデーションを活用する方法は存在する」。

 この図は、レコメンデーションする“対象(モノ)”の例を示したものである。左の『商品/サービス』カテゴリは、主に商品数の多い企業をイメージしている。この中でも、特に化粧品はレコメンデーションが非常に効きやすい、という。

 一方、真ん中の『コンテンツ』と右の『キャンペーン』カテゴリは、商品数が少ない企業でも効果を得られるそうだ。

 「例えば、サイト内にレコメンデーション枠を設置しておき、ユーザーがクリックした場所などのデータによってカスタマイズしたアイテムを、それぞれのユーザーに合わせてレコメンデーションすることで、最終的なコンバージョン率を向上させられる。他にも、メルマガ内にあらかじめキャンペーン枠だけを用意しておき、ユーザーのこれまでの購買傾向に合わせて、用意しておいた複数パターンのキャンペーンの中から、最適なものを告知することで、メルマガ配信の効果を高めることに繋がる」(市川氏)

 商材だけではなく、コンテンツやキャンペーンを、ユーザーにとってセンスの良いレコメンデーションをすることは、ユーザーに「このサイトでは自分にとって有益な情報を得られる」という印象を与え、サイトの訪問率やエンゲージメントの向上も期待できそうだ。

シーンによって使い分ける2つのレコメンデーション技術と活用法

 ブレインパッド社が提供するレコメンデーションサービスには、『アソシエーション分析』と『カーネル法』の2つの分析技術が使われている。

 『アソシエーション分析』では、KXENという超大量データマイニングツールを用意しており、集積したデータを使って算出された購入確率を元にマーケティングを行うことができる。

 KXENを導入することで、サイト内での顧客行動が明らかになるため、その結果をレコメンデーションに使うだけでなく、商品開発やキャンペーンの立案にも活かせるのだ。集積したデータを他のシステムに連携させて、コールセンターでアップセルのための推奨リストとして活用することも。

 アソシエーション分析では、確率をはじき出すための母数となる商品群が同じでないと、レコメンデーション結果には反映されないという特性があるが、もうひとつの『カーネル法』は、ブレインパッド社独自のアルゴリズムで、複数の商品間の関連性を辿りながら、レコメンデーションすべき商品を探し当てることを得意としている。

 そのため、テール商品にまで誘導できる『カーネル法』では、“在庫を抱えないよう、売れ筋商品だけでなく死に筋までしっかりレコメンデーションしたい”といったニーズにも応えられる。

 「どちらかを選ぶというのではなく、2つのアルゴリズムをうまく使い分けて、相互に補完しあうことが大切」(市川氏)

レコメンデーション活用事例

 ここから、活用事例を紹介していこう。あるWebサイト(CD・DVD)は、すでにレコメンデーションルールを持っている企業だったが、データマイニングに1日20時間かかっていたところを時間短縮させるために、KXENと独自アルゴリズムを並列実装することを決定。

 ひとつの商品のクリック数や購買履歴のデータを利用した。アソシエーション分析とカーネル法の両方を使いながら、導き出されたレコメンデーション結果をミックスしてWebサイト内で表示させたところ、40%以上のクリック率アップに繋がった。

 また、Webサイトで取得したレコメンデーションデータをメールでも再利用。ブレインパッド社が保有する統合レコメンドエンジン『Rtoaster(アールトースター)』を使った。これまで全てのユーザーに対し、共通のキャンペーンやコンテンツを送っていたメールの中を、個別のユーザーに合わせてパーソナライズした。

 さらに、取得したレコメンデーションデータを、メールだけでなく、実店舗の情報端末でも再活用し、店頭に備え付けてある情報端末に、顧客に配布したメンバーズカードを読み込ませることで、情報端末内でもレコメンデーションも可能とした。ユーザーは情報端末内で気にいった商品があれば、その場で注文票をプリントアウトして、レジで取り寄せ・予約も可能となった。

 別の事例も紹介しよう。Webサイト(化粧品)では、TOPページのFlash画像内のキャッチコピーだけを、ユーザーの過去の購買履歴に合わせて、変更されるようにした。過去にクリーム系の商品を購入したことのあるユーザーには“ハリ効果”を訴求した文言を、年齢やサイト内で同じ系統の商品を閲覧していたユーザーには“シワ効果”を訴求した文言を、そして過去に同一商品を購入したことのあるユーザーには“パワーアップ”の訴求でリピート促進を狙うなど、ひとりひとりに刺さるコピーを追求することができる。

 Webサイトで取得したデータをメール配信エンジンと連携させた事例は、オフィス用品通販A社。一括メール送信時だけでなく、商品の購入確認メールや配送メールなどのトランザクションメール生成時にも、レコメンデーションコンテンツを追加して送信している。

 メール・情報端末(通販B社)の事例も興味深い。当初はレコメンドロジックのみの実装だったが、メール配信にレコメンドを掲載することで、コンバージョン率が劇的に向上したため、全メールに加え、実店舗の情報端末へも展開を実施。POSデータとも連携させることで、リアル店舗とWebサイトそれぞれのお客様を繋ぐことができるようにも。

 ひとつのレコメンデーションデータで、Web・メール・実店舗の3つのチャネルへ水平展開した。「レコメンデーションデータを統一することで、複数のシステムを導入する手間もなく、お客様への情報もぶれないところがポイント」(市川氏)

ブレインパッド社の戦略立案コンサルティングと“マーケティングDB”の仕組み

 データ分析を生業としているブレインパッド社では、レコメンデーションシステムの提供だけでなく、企業のキャンペーン戦略やCRM戦略の立案・施策の提案サービスも用意されている。

 顧客育成マップの作成や、ライフタイムバリューをステップアップさせるためのコンサルティングも行っているので、悩んでいるマーケッターの方は、一度相談されてみてはいかがだろうか。

 そして、これがブレインパッド社でレコメンデーションシステムを導入した際のシステム構築イメージだ。店舗POS/EC受注・出荷/在庫系/各種マスタから情報を集積した“管理会計データ”を蓄積してあるデータウェアハウスと、クリック数などWebサイト上で取得できる“ユーザー行動データ”を『マーケティングDB』に集約した上で、マーケティング施策を実施するための分析レポート構築アプリケーションやレコメンデーションデータを挿入するメールアプリケーションと連携する仕組みとなっている。

 「一見、複雑そうに見えるが裏側で持っている元のデータは『マーケティングDB』ひとつなので、一貫したROIの可視化を実現することができる」と、市川氏は語る。

 市川氏は最後に、ブレインパッド社が提供するプロダクトを3つ紹介。「適切なツールを使用することで、開発のコストも時間も最小限に抑えながら、チャネルの水平展開を容易にできる」と語り、本講演は締めくくられた。

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

1983年生まれ。成蹊大学経済学部卒業。大学卒業後、大手IT企業にてレンタルサーバーサービスのマーケティングを担当。その後、モバイル系ベンチャーにてマーケティング・プロダクトマネージャーを務める傍ら、ライター業を開始。旅行関連企業のソーシャルメディアマーケターを経て、2011年1月Writing&a...

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MarkeZine(マーケジン)
2012/11/06 17:45 https://markezine.jp/article/detail/13610