レコメンデーションでこんなに変わる!数字で見る実力とは
レコメンデーションをイメージするには、Amazonを思い出してもらうのが、最も手っ取り早い。サイト内でも、メールでも、自分の閲覧履歴や購買履歴にもとづいて、ひとりひとりカスタマイズされた商品を提案された経験があるのではないだろうか。
市川氏は「レコメンデーションを導入すると、目に見える形でその効果がわかる」と、同社の実績から、一般的な数字を公開した。
『Webサイトでのクリック率』は、レコメンデーションを導入することで、平均40%向上するという。『メールの開封率』については、htmlメールを前提としているが、こちらも50%向上する結果に。『メールでの購入率』では、一斉送信型のマスメールを対象として計測している。このコンバージョンレートに幅があるのは、細かくセグメンテーションを行うかどうかで大きく異なってくるから。
「母数が減っても、リストを属性に合わせて細分化した方が、レコメンデーションの効果は上がる」(市川氏)
『店頭情報端末での購入率』は、CDショップや本屋の検索端末や、コンビニのLoppiやFamiポートのようなタッチパネル式のデバイスでの実績となるが、決済機能を持たないサービスであるため、閲覧ベースでの購入率という表記になっている。市川氏は、それぞれの詳しい事例は後ほど紹介するとし、まずは数字をもってレコメンデーションの実力を伝えるにとどめた。
オンラインで『おもてなし』データからユーザー心理をとらえる
レコメンデーションとは、デジタルな世界での「おもてなし」である、と語る市川氏。
「人には『特別な扱いをされたい・自分に興味を持ってほしい・自分を好きになってほしい・大切に思われたい』という欲求がある。お客様の嗜好を把握・訴求した上で、One to Oneマーケティングのレコメンデーションの技術を使えば、お客様と直接コミュニケーションを取れないオンライン上でも、「もてなされた」と感じてもらうことができる」
しかし、Amazonのように膨大な量の商品数があれば、レコメンデーションを行う意味もありそうだが、商品数が少ないところでは不必要なのではないだろうか。「確かに商材が多いところに適しているイメージがあるかもしれないが、商品数が少ない企業でもレコメンデーションを活用する方法は存在する」。
この図は、レコメンデーションする“対象(モノ)”の例を示したものである。左の『商品/サービス』カテゴリは、主に商品数の多い企業をイメージしている。この中でも、特に化粧品はレコメンデーションが非常に効きやすい、という。
一方、真ん中の『コンテンツ』と右の『キャンペーン』カテゴリは、商品数が少ない企業でも効果を得られるそうだ。
「例えば、サイト内にレコメンデーション枠を設置しておき、ユーザーがクリックした場所などのデータによってカスタマイズしたアイテムを、それぞれのユーザーに合わせてレコメンデーションすることで、最終的なコンバージョン率を向上させられる。他にも、メルマガ内にあらかじめキャンペーン枠だけを用意しておき、ユーザーのこれまでの購買傾向に合わせて、用意しておいた複数パターンのキャンペーンの中から、最適なものを告知することで、メルマガ配信の効果を高めることに繋がる」(市川氏)
商材だけではなく、コンテンツやキャンペーンを、ユーザーにとってセンスの良いレコメンデーションをすることは、ユーザーに「このサイトでは自分にとって有益な情報を得られる」という印象を与え、サイトの訪問率やエンゲージメントの向上も期待できそうだ。