SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

知らないとマズい? Hit Service Showcase

アメリカ動画広告の約30%が流れる動画サイト「Hulu」、そして月額課金型でHulu以上の売上規模を誇る「Netflix」とは?

広告モデル vs 月額課金モデル。動画サイトのスタンダードは?

 広告モデルを採用する動画サイトの優等生としてHuluを紹介してきたが、実は「動画サイト」という括りで考えると、Huluよりも、さらにはYouTubeよりも優れたサイトもある。月額制の動画配信サービスを展開する「Netflix」だ。

月額課金制サイト「Netflix」
月額課金制サイト「Netflix」

 1997年に誕生したNetflixは、その翌年からインターネットを利用したDVDレンタル・販売の事業を開始。当初は「レンタルショップに足を運ばなくてもDVDを借りられる」という点だけが売りで「1本レンタルでいくら」という従来型の課金モデルだった。だが、1999年から月額15.95ドルで指定のDVD 4枚を延滞料無しでレンタルできる、月額課金型のサービスをスタートさせたところから人気に火が付く。2002年には上場、2003年には会員数が10万人を突破し、四半期ベースで黒字化を果たしている。

 Netflixが「動画サイト」になったのは2007年1月のこと。DVDをレンタルせずともPC上ですぐに視聴できるサービスを始めた。初期に用意されていたコンテンツ数は1000本ほどだったが、順調にコンテンツを有する映画会社などとの契約を増やしていく。現在では主要な映画会社のほか、NBC UniversalなどのHuluの母体である大手テレビ局の番組までも視聴できるようになっている。

 現在の料金は毎月7.99ドル。ストリーミング配信で好きなだけ映画やテレビドラマを視聴でき、追加で2ドル支払えばDVDの現物を郵送してもらうことも可能だ。

 Huluが日本でいうところの無料動画サイトの「GyaO!」や懐かしいところではテレビ局連合による月額課金制動画サイトの「トレソーラ」といったサービスの文脈で語れるのなら、Netflixはネット宅配レンタルの「ツタヤディスカス」や「DMM.com」の系統から発展した動画サイトだと言えるだろう。

 そのNetflixは2010年10~12月期、会員数が2000万人を突破。5億9600万ドルの売上高を記録している。単純に4倍しても年間で約24億ドルの売上が立つことになる。収益を見ても10~12月期だけで4710万ドルの黒字だ。

 今年に入って2月22日にAmazon.comが月額制の動画配信サービスを開始すると発表。3月9日にはFacebookがWarner Bros.の映画レンタルを試験的に運用開始し、どちらも「Netflix対抗」という文脈で報道されていた。

 「Netflix対抗」という報道については、Huluが他社にマネできない独自のモデルで成長を遂げてきた点を割り引いて考える必要もあるのだろう。だが、売上高や最近の一連の報道から考えると、ビジネス上の存在感はNetflixの方が上のようだ。Hulu Plusの料金設定がNetflixと同じ月間7.99ドルという点から察するに、HuluもNetflixのことは意識しているのだろう。

 思えば、日本で勝ち組となっているニコニコ動画の収益を支えるのも月額課金の有料会員。動画サイトを成功させる今後のスタンダードモデルは、広告型になるのか月額課金型になるのか――。広告型の優等生でありながら月額課金サービスを開始したHuluの今後の動向が試金石になるのかもしれない。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
知らないとマズい? Hit Service Showcase連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

中嶋 嘉祐(ナカジマ ヨシヒロ)

ベンチャー2社で事業責任者として上場に向けて貢献するも、ライブドアショック・リーマンショックで未遂に終わる。現在はフリーの事業立ち上げ屋。副業はライター。現在は、MONOistキャリアフォーラム、MONOist転職の編集業務などを手掛けている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2011/04/13 11:00 https://markezine.jp/article/detail/13636

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング