CMSは時代遅れ、アプリ化を前提としたコンテンツ管理・配信
既にA&Eでは、PCだけでなくスマートデバイスも含めたマルチプラットフォームでコンテンツを提供することを重要な戦略と位置づけ取り組んでいる。


ここで、A&Eのネイソン氏はマルチデバイスに取り組む上での課題として、管理・運用、配信、そしてマネタイズ(収益化)の3つを挙げた。
管理・運用
コンテンツの管理・運用においてはA&Eの持つ様々なコンテンツやブランドが独立・分離して運営されるのではなく、共通のプラットフォームで管理される必要があると強調。さらに、コンテンツはウェブサイトだけで簡潔するのではなく、アプリとしてのコンテンツ提供も前提とするため、CMSがウェブページの管理ツールとしての役割だけを担うのはもはや時代遅れであると語った。
「これからのコンテンツ管理システムはXMLやJSONなど、様々なフォーマットにフレキシブルに対応し、様々なコンテンツの提供方法を持つべきではないでしょうか」とした。
配信
コンテンツの配信においては、動画、イメージ画像、テキストなどデバイスごと表示形式やキャパシティに最適化されたコンテンツの配信が必要である。PC向けの高画質のHD動画は帯域やスクリーンサイズに制限のあるスマートフォンにはオーバースペックである。画像についてもスマートフォンでストレスなく表示できるクオリティではPCだとクオリティが低い画像になってしまう、などの問題を挙げた。
収益化
コンテンツの収益化では黎明期のスマートフォンマーケットでの広告挿入のプラットフォームごとの差異や広告出稿の不足などを挙げた。
マルチプラットフォームのコンテンツ提供を実現する製品
これまで挙げた課題を解決するためにネイソン氏は、Brightcove のソリューションであるVideo Cloudを採用したとし、Video Cloudを活用することで動画フォーマット、サイズ、ビットレートなどのデバイスごとの最適化が実現できたとし、PCからモバイルデバイスまで一本の動画ソースですべて対応することができたと明かした。
また、Video CloudはネイティブアプリからHTML5まで様々な配信方法にも柔軟に対応できたため、コンテンツの管理・運用が効率化され、様々なブランドやコンテンツが一元管理できるようになったとした。
加えて、スマートフォン向けのアプリでは、先日発表されたBrightcove App Cloudを利用している。Brightcove App Cloudを利用することにより、クロスプラットフォームのモバイルアプリの開発だけでなく、既存のCMSなどに蓄えられている様々な資産を簡単に流用できるだけでなく、スマートデバイスに最適化されたコンテンツの配信が可能となったようだ。
アプリの管理・運用ツールとしても、アプリのライフサイクル管理が効率的に行えるとして、今後も積極的にスマートフォンアプリやタブレット端末向けのコンテンツ提供を行っていくと語った。
モバイルデバイスの普及に伴い、ユーザーのコンテンツに対する消費意欲は高くなる一方だが、ユーザのニーズを満たすサービスやコンテンツの提供にはハードルが高いのが現状である。
マルチプラットフォームでのコンテンツ提供を、いかにコスト効率よく行っていくのかは今後も大きなビジネスの課題となるのは明白だ。今後、様々な製品が登場することが予想される中で、コンテンツ提供側の心を掴むのは、どういった製品が勝ち残っていくのか。興味深いマーケットであることは間違いない。