地方企業のインターネット進出を手厚くサポート
有限会社愛幸がインターネット事業を開始したのは2005年。以来、ウェブサイトの制作や運営をはじめ、リスティング広告を活用したマーケティングなど、企業のウェブ戦略における各種サービスを提供しています。
群馬で創業し、2010年には東京にも拠点を構えた同社では、拠点の周辺地域はもちろん、関西、九州など全国各地の企業と取引しています。そのうち、リスティング広告の運用代行を行っている顧客は35社ほど。平岡氏(写真右)は、特に地方の企業が持つ可能性をインターネットで広げられると確信しています。
「宮崎のワイナリーさんのケースでは、実際に現地に向かいお客様の商品の生産工程などを見学させていただき、ユーザーから見た『商品の強み』はどこかを見極めました。その上で、年間販売数20万本うち2割の4万本をネットで販売したい、というような具体的なゴールをお客様にイメージしていただいてから、達成するための顧客獲得コストや獲得手法の話に入りました。手間はかかりますが、 AdWords やウェブに対するロジックをご理解頂くことで、やがて小売からの発注を待つだけでなく、お客様自身で戦略的な事業展開ができるようになっていきます」
ウェブ戦略やリスティング広告などを使ったマーケティング手法は、地方の中小企業にはまだまだ浸透していません。同社では、 Google が提供する資料などをもとに、アクセス解析や効果測定などから導き出すウェブマーケティングをわかりやすく説明しています。
「たとえば、1本1800円のワインを購入した人の獲得単価が800円だったとします。この数字だけを見ると割に合わないかもしれませんが、新規に獲得した顧客の年間のリピート率を分析するとその生涯価値と適正な獲得単価がわかります。分析には Google のツールが役立ちますし、分析結果を説明することで、お客様にもウェブで販売することのメリットをご理解をいただけます。弊社としては、農業系の商材をはじめ、『ECには向いていない』と思っていらっしゃるような地方の中小企業様にも大きなチャンスがあることをご理解いただき、どんどんウェブに進出してもらいたいと考えています」
Google オープンビジネスパートナーへの参加で、提案がスピーディーに
平岡氏は、リスティング広告の運用代行業務が増えるにしたがって、インターネット広告代理店としての情報リソースの確保や運営体制を整える必要性を感じていました。そして Google オープンビジネスパートナー募集について知るとすぐに参加します。今では、 Google AdWords の認定パートナーにステップアップし、今年春には AdWords広告利用支援において、極めて優秀な成績を上げた代理店に贈られる「Google Excellent Performer Award 2011 最優秀賞」を受賞。成功の要因は、 Google のリソース活用にありました。
「 Google オープンビジネスパートナーに参加したことで、各種ツールや提案書のテンプレートを利用できるようになりましたので提案スピードが飛躍的にアップしました。見込み客から問い合わせが入ると、業種や商材からキーワードリストを抽出し、予算から想定されるインプレッション数やクリック数などの仮説を立てて、提案書と見積書を提出します。以前は1日がかりで提案書を作っていたのですが、その時間が劇的に短縮されました」
見込み客は、他社にも問い合わせをしていることが予想されます。同社の分析力に加え、 Google オープンビジネスパートナーだけが利用できるツール類を活用したレスポンスの良さは、競合の中から選ばれる理由にもつながっています。
「 AdWords の最新情報をいち早くチェックし、お客様にフィードバックできるのも Google オープンビジネスパートナーのメリットだと思います。また弊社では Google の認定パートナーを目指していましたので、認定試験の受験料が免除されることも魅力的に感じました。認定パートナーとなった今も、オンラインセミナーを受講し、スタッフ教育にも役立てています」
戦略はじっくり立案し、小額からでもしっかりと対応
見込み客への提案スピードで信頼を獲得し、顧客の事業を理解した上でじっくりコンサルティングを行う愛幸。平岡氏は、たとえ広告にかけられる予算が小額であっても、顧客と共に成長するというスタンスでさまざまなサポートを行い、顧客を成功に導いています。
「私たちがお力添えすることで売上規模が上がっていけば、共に成長することができます。たとえば、ホテル向けのアメニティを販売するお客様の場合、当初月間の売り上げが50万円で、そのうち10%の5万円がリスティング広告の予算でした。弊社が1年間関わったことで、今では月間1000万円の売り上げに成長しましたが、広告予算は売り上げの10%のままです。つまり、月100万円が広告費にあてられるのでさらなる成果が望めます」
ホテルのアメニティ販売サイトの場合、ホテルやペンションが購入者となるB2B(企業間)取引のため、高いリピート率が期待される業態といえます。 AdWords の運用と、サイトでの売上向上のための商品戦略やインタフェースの改善などが功を奏した例と言えます。
「『単価が安い商材だから、リスティング広告は費用に見合わない』と、導入していない企業もあると思いますが、単価が安くても、消耗品などのリピーターを確保しやすいものであればうまくいきます。逆に単価が高く、リピート率が低い不動産や高級品などは、別のアプローチ方法がありますので、弊社では、業種業態にあわせた提案を行っています」
顧客の情熱を引き出すことが成功のカギ
地方の企業のインターネット活用支援にフォーカスする愛幸。平岡氏は、地元栃木・群馬を中心に顧客企業での勉強会や、商工会議所と組んだセミナーを開催し、地方企業に対するウェブ活用の周知にも努めています。
「セミナーでは、私がセールスを中心に話すのではなく、成功されている弊社のお客様を招き、生の声を語っていただきます。成功されている方は、ご自身も情熱を持って取り組んでいらっしゃいますので、セミナー参加者にもその情熱が伝わり、インターネットやリスティング広告への理解が深まります。業種を超えた人たちが集まるので新たな気づきが生まれ、ビジネスが発展することもあります」
同社では、顧客の運送会社が新たに立ち上げた物流倉庫事業のプロモーションに AdWords を使ったところ、EC事業者からの問い合わせが殺到したそうです。平岡氏は、ECの関係者はウェブを閲覧することが多いため物流倉庫とリスティング広告との親和性は高い、という気づきからうまくいった例と分析し、ほかの業種でも同様のチャンスの可能性があると語ります。
最後に、数々の企業を成功に導いた平岡氏に、今後の自社の展開について伺いました。
「これから成長しそうな分野としては、商材をビデオでわかりやすく伝えられる広告フォーマットの『YouTube プロモート動画』 や、消費者と地域が密接に関わる可能性の高いスマートフォン向けのマーケティングが気になります。繰り返しになりますが、地方の企業にはまだまだチャンスがたくさんあると思っています。成功される方たちは情熱を持って取り組んでいらっしゃる方ばかりです。私たちは、 Google Adwords を使って、その情熱を持つ方々を常に刺激し続けられるような提案をしていきたいと思います」
- 社名:有限会社愛幸
- 所在地:群馬県太田市(本社)、東京都江東区
- 設立:1997年
- 事業内容:ウェブサイト設計・構築、コンサルティング、コンテンツ企画制作、SEO・SEM・LPOサービス、ウェブサイト調査・分析