クリエイティブは要素ごとにテストを繰り返して組み合わせるべし
次に加藤氏は「売るためのクリエイティブを作るときには、とても慎重にならなければならない。なるべくレスポンスが低下するリスクを省き、確実・堅実にレスポンスを上げていくクリエイティブ作りをしていく必要がある」と、広告クリエイティブを高いクオリティで維持し続けるために何をすべきかについて言及した。
今までの広告業界では、「1つのクリエイティブプランを、完結された1つの“作品”」として見る風潮にあり、あるクリエイティブプランを実施してレスポンスが悪いと、その作品自体が悪いという事で、まったく新たなクリエイティブプランを作ってきた、と加藤氏は指摘する。もっと『シンプル』に『統計学的』に考え、各要素を単純に組合せれば良いとし、『Direct Creative Optimization(DCO:クリエイティブ最適化)』という手法を紹介した。
DCOでは、1つのクリエイティブプランの要素を「キャッチコピー」「写真」「構成(デザイン)」などに分解。要素ごとでクリエイティブのスプリットランテスト(A/Bテスト)を行い、「アドエビス」などの効果測定ツールで反応を測定し、最終的に各要素のスプリットランテストで一位になったものを単純に組合せる。
インターネット広告のクリエイティブにおいては、アイデアの良さといった芸術的発想ではなく、要素の組合せという統計学的発想で取り組むことで、確実/堅実にレスポンス率は上がると解説する。
メディアプランにも最適化の概念を
3つ目に紹介されたのが、メディアプランのレスポンス効率を上げ続ける方法だ。
「インターネット広告では、“採算がとれる媒体メニュー”と“採算がとれない媒体メニュー”で、驚くほどの差が出る」と語る加藤氏。どんなに美しいターゲット論やロジックで作成されているメディアプランでも、どの媒体のどのメニューが低CPAで獲得できるかは、実際にやってみないと分からない。想定CPCが低くてもCPAが高くなってしまう媒体もあるし、想定CPCが高くてもCPAが低くなる媒体もあるという。
「女性向けの商品なのに、女性向け媒体よりも普通のポータル媒体の方が、CPAが良い場合もある。さらに、媒体と商品やクリエイティブとの相性なども複雑に関係し合っており、最初から媒体メニューの成功を予測できるものではない」(加藤氏)
インターネットの媒体は数百社、媒体メニュー数は1万種類以上あると言われている。広告枠の中から、どのようにしてメディアプランを策定すれば良いのだろうか。これも前述のクリエイティブと同様に、より『シンプル』に『統計学的』に考えるべきだと加藤氏は指摘する。
「不思議な事に、インターネット広告では一度効率良くとれた(成果が出た)媒体メニューは、何度実施してもかなり高い確率で効率良くとり続ける事ができる。逆に、一度ダメだった媒体メニューは、何度行ってもダメ。良い媒体メニューを残し、悪い媒体メニューを外す。これを繰り返すだけで最強のメディアプランになる」(加藤氏)
これは、「Direct Media Optimization(DMO:メディア最適化)」という手法で、広く、浅く、できるだけ多くの媒体メニューに分散してメディアプランニングを行い、効果を測定し、効率の良い媒体メニューだけを「メディアポートフォリオ」に、効率の悪い媒体メニューは「ブラックリスト」へ移すようにする手法だ。
インターネット広告のメディアプランはターゲティング論やロジックだけでは、確実にレスポンス率を上げることは難しい。インターネット広告のメディアプランは、継続的なメディアポートフォリオ作成で、確実・堅実にレスポンス率は上がる、と説いた。