「バー読」iPadアプリ開発の裏側
この連載では、弊社が手掛けた最新事例をもとに、デジタルマーケティングに求められる視点をご紹介したいと思います。今回は連載の第1回でも紹介した、アサヒビール株式会社(以下、アサヒビール)提供のiPadアプリ「バー読 IN MY ROOM」の開発経緯について説明していきます。
背景 ~ ライフスタイル提案キャンペーンからiPadに発展
アサヒビールは2009年より、ニッカウヰスキーのブランド価値向上および、ウイスキーの飲用機会の創出を目的に「ジャズ音楽や本とともにウイスキーを楽しむ」というライフスタイル、「バー読」の提案を行っています。近年のハイボールブームを契機に、本格的にウイスキーに親しんでもらいたいという想いから、ライフスタイルの提案というアプローチに至りました。
この「バー読」というコンセプトのもと、アサヒビールは、同社が運営する店舗「ニッカ・ブレンダーズバー」でウイスキーと一緒に本が出てくるメニューを展開したり、丸善株式会社(以下、丸善)とのコラボレーションでウイスキーの小瓶と文庫本をセットにして販売したりするなど、各種の施策を実施してきました。
このキャンペーンの一環として取り組んだのが、今回のiPadアプリ開発です。アサヒビールが、この施策に踏み切ったのには、2つの理由があります。
(1)「バー読」とiPadの親和性
弊社が実施したiPadユーザー実態調査では、iPadの利用場所は自宅が95%、利用時間帯は就寝前が75%であるという結果が出ました。つまり、iPadは1日の中で最もリラックスした時間帯に使われるのが多いことが分かります。この結果から、iPadの利用シーンとウイスキーの飲用シーンに共通点を見出しました。また、電子書籍端末であるiPadが「バー読」のテーマである“読書”と親和性が高いことも決め手になりました。
(2)iPadユーザーとウイスキー既存顧客層との親和性
同じくユーザー実態調査から、iPad所有者の7割以上が30歳以上、6割以上が男性、5割以上が会社員であることが分かりました。ウイスキーの既存顧客と重複する層にリーチできると予測されました。