グローバルWebの導入前に、準備しておくべき注意点とは
まずイントロダクションとして、「グローバルWebの導入前に押さえておくこと」と題し、FatWire株式会社 代表取締役 田中猪夫氏から、グローバルWeb導入前の注意点について解説された。
田中氏はグローバルWebを導入する前に、次の4つの簡単な注意点を押さえておくべきだと話を進めた。
コンテンツ著作権管理とグローバルPIM
1つ目は、同社で5月12日に開かれたセミナーのテーマでもある、コンテンツ著作権管理に関する点についてだ。「写真やコンテンツに関する著作権について権利は誰にあるのか、またどの範囲まで利用可能なのか、といった点についてはグローバルに展開するなら、注意した方が良い」(田中氏)
インターカンパニー会計への取り決め
2つ目は、グローバルWebを構築する際に発生した費用の問題だ。
例えば、どこかの国の部署がコンテンツを作成しそのコンテンツを外国で利用するとなった際、会計上、インターカンパニー間で有料取引を行うケースがグローバルカンパニーでは多い。
想定されるパターンとして、作成されたコンテンツは各国に有料で販売する「コンテンツ按分型」、高いクオリティで、デザイン・制作されたテンプレートを各国に販売する「テンプレート按分型」、本社IT部門の費用を使用子会社で按分する「サーバー、ライセンス按分型」などがある。
いずれにせよ、もし取り決めがまだないのであれば、後々社内がスムースに動けるために、会計上の取り決めを行っておいた方が良いだろう。
海外オーディエンスへのプレゼン
日本国内にサーバーを置いて、各国のコンテンツを一括管理する場合、各国間で生じる“地域の温度差”を考慮する必要がある。日本国内だけであれば、更新が簡単というポイントだけでも担当者は満足する場合もあるが、レコメンデーションのカルチャーが強い欧米のマーケティング担当者に対しては、マーケティング機能の説明やデモが必要となるだろう。「マーケティング志向の強い欧米は特に、グローバルWebを導入する際には事前の根回しをしておくことをお勧めする」(田中氏)
ソーシャルメディアガイドラインのグローバル化
「日本国内でもソーシャルメディアガイドラインを持つのは常識となっている。グローバルWebを構築する際には、グローバルで通用するソーシャルメディアガイドラインが必要だ」と語る田中氏。参考サイトとして、グローバル企業のソーシャルメディアガイドラインが多数掲載されたSocial Media Governanceを紹介。「全世界共通で良いのか、各国の文化に合わせて変更した方がいいのか検討してもらいたい」と語った。
BtoBのサイト評価に役立つ「BtoBサイト調査」とは?
次に登壇したのは、株式会社日本ブランド戦略研究所 代表取締役 榛沢明浩氏。「グローバルBtoBサイトの10のポイント」と題し、ユーザーニーズに沿ったグローバルWebの構築のポイントについて、同社が実施するBtoBサイト調査に基づく豊富なデータとともに紹介された。
10のポイントの話に入る前に、同社が行う「BtoBサイト調査」について触れておこう。毎年4月下旬~5月上旬に240のBtoBサイトを対象に行われており、100万人程度のビジネスパーソンにアンケートを実施。うち有効回答数は1万人程度という大規模な調査となっている。今年は国内だけでなく、中国でも同様の調査を実施。(BtoBサイト調査in中国)次の観点からBtoBサイトの「ビジネス貢献度」を明確化されている。
- 視聴率…ターゲットに対する到達度/アクセスのきっかけと目的/サポート等の利用状況
- ユーザー評価…サイトの印象/ニーズ充足度とその理由/サイトの問題点
- 営業補完度…購入・検討実態/サイト閲覧後の行動/売上に対するサイトの効果
BtoBの場合、Webで営業が完結するということはほとんどない。営業への橋渡しがWebの役割となる。またBtoCと異なり、オープンになったデータが整備されていないので、BtoB企業のサイト評価をする際には参考になるデータとなるだろう。