ユーザーはデザインをどう見ているか?
では、ユーザー視点を補うためにはどうすればよいでしょうか? 前回も紹介した、弊社で開発した印象評価ツール「クリエイティブサーベイ」を利用することで、課題を解決することが可能です。「クリエイティブサーベイ」は、ユーザーがデザインに対してどう思っているのか、という調査を大量に短時間で抽出できます。
弊社にて調査した結果によると、ホテルの客室画像は、寒色系よりも暖色系が好まれることが分かっています。さらに、画像で見た時は、夜景よりも広さを重視していること、景観が望めない場合にカーテンが閉めてあったりすると評価が下がること、などが分かりました。写真調査は6つのホテルにて調査しましたが、支持された写真はされなかった写真と比べ、結果に4倍以上の差がついています。
また、個別に画像について書き込みをしてもらったところ、次のような意見があることも分かりました。
客室画像によって予約数や売上が大きく変わるかというと、もちろんそれだけの要素ではありませんが、写真の魅力が意思決定の一端を担っていることはこれらの調査から明らかと言えるでしょう。
ビジネス視点とユーザー視点が必要
前回も触れましたが、今までのデザインプロセスでは、ビジュアルデザインに関してのみ仮説検証のプロセスが存在しませんでした。そのため、少数の人たちの好みや感性によって、決定されていくことがかなり多いことが分かっています。
ビジュアルデザインまでの設計段階では、ビジネスのゴールを達成すべく、ユーザーによる仮説検証プロセスを経ていますが、ビジュアルデザインの決定においては、作り手側の責任者や経営者などの少数の感性によって決まっています。
ユーザーによる検証プロセスがかけている状態では、ユーザー視点そのものがかけてしまう危険性や、ビジネス視点ですらなくなって、せっかくのデザインプロセスが崩れてしまうこともあります。
実際の消費行動を行うのは、作り手側ではなく受け手側のユーザーです。ユーザーがどう思うのか、ユーザーがどう見るのかを把握し、ビジネス視点とユーザー視点のマッチし、魅力的なビジュアルを作り上げることが大切なのです。



