ポイントは、流し読みを前提にした書き方
きわめて素っ気なくわがままという、Webに対するユーザーのハードルを超えるためのライティングはどうあるべきか。具体的なノウハウは今後紹介していくが、今回は基本だけを述べる。ポイントはチラッとしか見ない、流し読みされても伝わるライティングだ。
大切なことは先に、「逆ピラミッド」型で
コツは結論、あるいは一番重要なメッセージは最初に書くこと。これは前回コラムの<最初のコトバに集中せよ>と同じ考え方。ユーザーは、はじめの数語、はじめの1、2行を流し読みして、その先を読むかどうか決める。
そうであるなら、はじめに結論を示すしかない。次にその理由や証明する内容を続ける。冒頭で内容が分かるような文章を組み立てるわけだ。論文のように問題や疑問の提示からはじめて、それから論理を展開し最後に結論をおくようなピラミッド型とは逆の流れだ。
×:ユーザーがWebをちゃんと読まないのは本当だろうか。
○:ユーザーはWebをちゃんと読まない。
重要なコトバは先に
これも、「大切なことは先に」と同じだ。ネットの掲示板のスレッド名を眺めていると、【速報】や【AKBお宝】なんて【 】ではじまる表記がちらほらと目につく。【 】で目立たせて、そこにはいずれもキャッチ―なコトバが使われていることが多い。つまり、流し読み、F字視線というユーザーの行動から考えれば有効である。
最初に目に飛び込んでくるコトバは、ユーザーにとってのメリットやもっとも重要なことでなくてはならない。とくにキャッチコピー、タイトル、見出しではそれを意識した表現にすること。
×:心理学にもとづいて作った、誰でも簡単に書ける、売れるコピーのテクニック!
○:簡単に書ける「売れるコピー」、心理学を使ったテクニック!
簡潔に要約せよ
お手本はヤフートピックス。9文字~13文字(人が一度に知覚できる文字数)で内容をうまく要約している。ムダな表現はせずに、コンパクトにニュースのキモを伝えている。だから、クリックした先にある記事の内容がひと目で分かる。これなら、多くの情報から必要なものを選べる。例外はあるが、タイトルやキャッチコピーでは、基本的に「簡潔」とコンテンツの「要約」を心がけたい。
内容が気になる表現という点では、ライブドアニュースの見出しもかなりその気にさせるが、クリック優先のいわゆる釣りタイトルが多く、記事とはかい離してがっかりすることが多い。ポータルサイトなら大目に見られるが、広告やニュースリリースでこれをやると、ユーザーの反感を買うことが予想されるのでくれぐれもご注意を。
つまるところ、Webでは「どうぞ気持ちよく読んでくださいませ」という、おもてなしの心、至れり尽くせりの姿勢が紙メディア以上に大切なことが分かる。このコラムもそれなりに<ユーザビリティ>に配慮しているが、Webで2、3ページも読んでいただくには苦労するのよ。その意味で、最後まで読んでくれたあなたはホントにえらい(パチパチ)!

●これは「効く!」Web文章作成&編集術逆引きハンドブック(松下健次郎/ワークスコーポレーション)
文章をうまく書くコツから、説得力ある文章編集のテクニックまで、Webの特性をふまえたライティングの基本がわかりやすくまとめられています。巻末の「広告では使用を避ける不快語」「間違いやすい言葉」など、原稿づくりに不可欠な資料集は、実務にとても役立つはずです。
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「コピーの中で最も重要なキャッチフレーズの作り方」「説得力アップのためのフレームワークとレトリックの紹介」の2点に重点を置き、動かす、読まれるWebコピーの発想と作り方を伝授します。キャッチコピー、ボディコピーを実際に書いていただき、その場で講師が添削するワークショップの時間を設けています。