課題発見のアプローチ~仮説に基づくテスト設計
課題発見アプローチ1/【手順1】テスト実施箇所の特定
テストを実施するには、まずサイトのどのページでテストを行うのか決めます。具体的には、サイト内の行動プロセスを図示化した「コンバージョンファネル」等を用いて定量分析を行い、現状ボトルネックとなっていて且つ改善によるリフト余地が見込める箇所を特定します。
課題発見アプローチ1/【手順2】改善に向けた仮説出し
次に、手順1で抽出したテスト実施個所に対し“現状がその数値である理由”を考え、仮説出しを行います。言わばユーザを知るプロセスです。
具体的には以下のように定量と定性、両方の分析を行ったり来たりすることで、次第に深い仮説を得ることができるようになります。
課題発見のアプローチ~「行動観察法」の活用
課題発見アプローチ2/行動観察型アクセス解析について
次に「行動観察法」という考え方を用い「一連の閲覧フローの中で起こっている課題」からアプローチする手法をご紹介します。
行動観察型アクセス解析とは、アクセスログからユーザ一人ひとりの中長期間における一連の閲覧行動をブラウザ上に再現し、実際にユーザが辿った閲覧プロセスを観察することで、ユーザの行動心理を読み取っていくアプローチ方法です。
通常のアクセス解析では、PV数、離脱率、樹形図など行動の一部を見るにすぎない分析でしたが、この手法では新規訪問からセッションをまたいで一連の行動を観察できるため、これまで見えていなかったユーザ行動を深いレベルで理解することができます。
イメージとしてはウォークスルー調査やユーザテストと似ていますが、実際のユーザの行動をベースにした観察という点が、これまでの定性的な調査手法とは大きく違うポイントです。
課題発見アプローチ2/見込み度が高いのに離脱してしまっているユーザに注目する
観察をするといっても、単にユーザを観察すればよいというわけではありません。どのようなユーザを観察すべきかがポイントとなります。
観察の前には上の図のように、ある期間に新規訪問した人を括りだし、この人たちがその後1カ月の間にどれくらい行動をしていたのかをまず調べます。ここから、コンバージョンの見込み度によってセグメントを行います。上の図は、累積滞在時間が合計20分以上の人を見込み度の高い人としてセグメントを行った例になります(滞在時間の代わりに累積PV数で定義する場合もあります)。
この図を見ていると、時間をかけサイトを見ているのに申込に至らなかった見込み離脱客を、なんとか申込に至らせたいという気持ちが湧いてくるのではないでしょうか?
そして、この見込み離脱客がどのような閲覧行動を取っていたのかが見えてくると、これらのユーザにどうアプローチすれば申込をしてくれるようになるのかを具体的に議論できるようになり、仮説抽出の幅が一気に広がります。
課題発見アプローチ2/改善案抽出の流れ
改善案の抽出においては、まず観察された行動からユーザをタイプ分類し、各ユーザに見られる行動特性を整理します。
そして、各タイプに対してサイトが適切に対応できているのかをチェックし、「追加してあげるとよい導線や情報は何か?」「どのタイミングでどのような情報へ誘導してあげるのがよいか」などの改善案の抽出を行っていきます。
改善案抽出の例を1つ挙げると、あるECサイトにおいて、プロモーション用のランディングページへ進入してきたユーザがすぐには購入せず、サイト内の商品ページを色々と閲覧した後、会社案内コンテンツを回遊して離脱するというユーザが多く観察されたケースがありました。
この結果からは、商品提供元の企業イメージも購買の意思決定を左右する要因となっていることが読み取れたため、会社案内コンテンツを購入検討の過程で閲覧されるページであるという認識のもと、改修を行うという改善方針が抽出されました。
このような形で観察結果からの様々な行動特性に対し、仮説と改善策を積み上げていき、見込み離脱客を購買や申込につなげていくという流れになります。
以上、今回はコンバージョン率を向上させるための具体的な方法として2つの課題発見のアプローチをご紹介しました。
どちらにも共通するのは、コンバージョン率を向上させるコツは徹底的にユーザを知ることにあるということです。そしてそれは、突き詰めれば“お客様の声を聞く”というサービスの基本的アプローチそのものなのです。



