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BtoB Webマーケティング実践講座

“営業”が現状抱えている課題は何か、把握できていますか?─ BtoB Webマーケティング実践講座第1回


 この連載では、全12回にわたってBtoBのWebマーケティングを成功させるポイントを紹介していきます。今回は、BtoBのWebマーケティングを実施する前に考えておきたいポイントについて紹介します。

失敗は成功のはじまり

 自分の経験でもっとも象徴的だったBtoBのプロジェクトをご紹介しよう。

 はじめに相談にいらしたのはマーケティング部門の主任級の方だった。わざわざ遠方から足をお運びいただき、お菓子まで持参いただき、丁寧な挨拶をうけた。ファーストインプレッションからこのプロジェクトにかける熱意が感じられた。

 Webマーケティングの対象となるサービスは「システム開発案件」。PRのしやすい製品やプロダクトではなく、お客様と要件を詰め、新しいシステムやサービスを開発する一筋縄ではいかない商材だ。直感的にWebサイトで成果を上げるのは難しいなと感じたのをよく覚えている。

 詳しくお話を伺うと、今までは展示会やグループ会社内の営業を中心に引き合いを獲得しているとのこと。ただし、近年社内のルールが変わり展示会では個人情報保護の観点から顧客リストを親会社に引き上げられしまうことになった。

 さらに、海外の安いオフショア開発などのあおりも受けてグループ内での競争も激しくなっている。既存のやり方では、もううまくいかない。売り上げがなくなれば、部署そのものがなくなるかもしれない。危機感がこもっていた。やり方を変えよう。その部署では、大きな期待をこめてWebサイトから引き合いを増やすように舵を切っていた。

 まず行ったことはリスティング広告の投入だ。だが、これがまったくうまくいかない。いざ意気込んでプロジェクトをはじめたものの、はじめた直後からつまずいてしまったのだ。

 キーワードをいろいろと変えても、コピーを変えても成果に結びつかない。依頼した担当会社の説明を受けても、ピンと来ない。専門用語をまくし立てる割には、うまくいかない要因がはっきりとしない。

 次第に、依頼する会社に不安を覚えるようになってしまった。そこで第三者の意見がほしいということで、私のところにいらしたとのことだった。

 私は、改めてサイトを確認する。

 お世辞を抜きにして良くできているサイトとは言えなかった。Webサイト内にある情報は、どこにでもありそうなカタログっぽい情報ばかり。コピーも他社とすり替えても気づかないようなあたりさわりのないコピー。問合せフォームもドがつくほどノーマルな出来栄え。さまざまなBtoBのプロジェクトを経験してきた自分にとって、直帰率や離脱率が高いことは明らかだった。

 Webサイトの成約率が高くない状態で集客を行っても、粗いざるで水をすくうようなものだ。リスティング広告に、いかに予算かけようにも、魅力的でないWebサイトに誘導しては、顧客は問い合わせに至らない。それどころか顧客をがっかりさせてしまうだけだ。

 まずは、カタログそのまんまの情報をやめることを勧めた。他社と比較したときのサービスの魅力、具体的な事例、過去の実績、企業としての姿勢、担当する技術者や営業のレベルの高さ、あらゆる側面からコンテンツを補強すべきだ、と。さすがに実績のある企業。いざヒアリングをすれば、魅力的なコンテンツは難なく出てきた。

 その後、お仕事としてサポートをさせていただくこととなりプロジェクトAが始まった。約2ヶ月のサイト制作期間を経てサイトをオープンに漕ぎ着ける。

 リスティングも見直しをした上で再開。サイトオープン後に改善前の約4倍の成果を上げることができた。問合せ内容も、具体的なものが多く、企業規模も半数以上は狙いどおりの規模感。上々の滑り出しだった。

 同部署での成果が社内で話題となり、他の部署でもWebマーケティングのプロジェクトBが立ち上がる。プロジェクトBでは、まだリスティングをかけていなかったこともあり、対策前後で約8倍の問合せ獲得につながった。

 してやったり。3ヶ月後のプロジェクト報告会では意気揚々と会場に足を向ける。これだけ成果がでれば、お褒めいただけるだけでなく、次の仕事もその場で舞い込んでくるかもしれないレベルの成果だった。

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この記事の著者

渥美 英紀(アツミ ヒデノリ)

株式会社ウィット代表取締役立命館大学政策科学研究科修了。さまざまな業界の売上アップ・ブランド強化・ 営業改善など100以上のプロジェクトを担当。特にBtoBのウェブマーケティング において高い成功確率を誇り、2009年に『ウェブ営業力』(翔泳社)を執筆。ア クセスログ解析システム、メール配信システム...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2012/10/18 13:33 https://markezine.jp/article/detail/14871

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