日本初のインタラクティブエージェンシー(デジタル領域の総合広告代理店)として誕生し、企業のデジタルコミュニケーションを総合的に支援しているスパイスボックス。本連載では、スパイスボックスのプロデューサーの物延秀と、スパイスボックスと共にインタラクティブコミュニケーションを生み出す、様々な分野のプロフェッショナルが、5回に渡り対談を実施。
第3回となる今回は、 日本最大級のソーシャルファッションサイト「FUKULOG(フクログ)」を運営するハニー・エンターテイメントの鈴木氏と、FUKULOGとのコラボレーションアプリ(iPhone版/Android版)を開発したカヤックの武田氏をお招きし、「ゼロからのソーシャルメディアを立ち上げ」をテーマに対談を実施しました。
コーディネート投稿ファッションソーシャル「FUKULOG」の立ち上げの裏側
物延:まず、FUKULOG立ち上げの経緯や思いを教えてください。
鈴木:服を購入する時に、雑誌などのファッション情報よりも友達同士や身近なおしゃれな人の情報を信頼する傾向が強くなっているのではないかという気づきがFUKULOGを立ち上げたきっかけです。当時、「食」や「家電」などのクチコミサイトは一般的になっていましたが、ファッションに関するクチコミサイトはなかったので、2009年の10月にサイトをオープンしました。
物延:2009年というとmixiが広く浸透していましたし、日本でFacebookを使うユーザーが現れはじめていましたね。ファッションに特化したソーシャルメディアを展開するときの難しさや、ユーザーが定着するまでに苦労した点はありますか?
鈴木:FUKULOGは、ユーザーのコーディネート投稿がコンテンツの中心になっています。コーディネートを投稿する行為自体のハードルが想像以上に高かったので、自分の写真をネットに公開することに抵抗感があるようなユーザーにも楽しんでもらうために、モザイク機能のように顔を隠して投稿できるとか、あるいは他のユーザーのコーディネート投稿を評価するといった誰でも参加できるようなコンテンツ設計に気を配りました。
物延:ユーザーのリテラシーレベルに合わせてコンテンツ設計することは重要ですよね。基本は、すでにコーディネートを自分撮りしてブログなどに公開しているようなヘビーユーザーを取り込みつつ、ライトユーザーも取り込めるようコンテンツ設計していったということですね。
鈴木:そうです。
物延:ソーシャルメディアを立ち上げたあとに、ユーザーが定着するまで集客が大切になってくるのだと思うのですが、どのような施策をされたのですか?
鈴木:読者モデルによるコーディネート対決や、大学生による学校別コーディネート対決といった一般の人に波及しやすいイベントを企画して定期的に実施しました。ユーザーは、F1、M1層が中心なのですが、主婦層が多かったのは発見でした。ファッションに興味があって、子育てや家事をしながらファッションを楽しんでいる方に活用していただいたのは、メディアが安定することの大きな要素となりました。