ただし、この方法だと、初回のアクセスの際にはURLにそのパラメータは付いておらず、URLだけから解析を行った場合は、1ページ目のアクセスだけが解析からもれてしまうことになります。しかし、それをシステム的に解決する方法はいくつもあります。それは、どのような方法でこのパラメータを埋め込むかにもよって変わってくるので、ここではあまり詳しく述べませんが、こういう仕組を導入するということは、アクセスのたびにどこかでページを加工する必要が出てきますから、そのタイミングで内容を記録することは可能なのです。
このように方法はあるのですが、問題はパソコンからのアクセスのようにHTTPによって標準的に送受信・記録されている情報だけでは解析が不可能で、何らかのシステムの導入や、開発作業が必要になってしまうことです。ちなみに各キャリアの携帯には、それぞれの機体固有のID番号を送る機能が備わっています。これを利用すれば、個々の機種を別々に区別することができます。この機能はさまざまな携帯サイトにおいて、ログイン時の認証に使われています。例えば話題の「モバゲータウン」などもその1つです。この固有のID番号を使うことで個体識別が可能になります。
しかし、これをサイト全体のアクセス解析に利用するのはあまり現実的ではありません。なぜなら、DoCoMoの携帯では、固有の機種番号(端末製造番号)を送るのに、HTMLのリンクのなかで以下のように「utn」という属性を指定をしなければなりません。
<a href="/products/" utn>商品紹介</a>
しかも、この「utn」属性がつけられたリンクがクリックされた場合、「○○」という警告が画面に表示されてしまうため、すべてのリンクにutn属性をつけるのが非現実的だからです。そのため、固有のID番号を使ってログインの認証を行っているサイトでも、一度認証を行った後は、URLに固有のパラメータを埋め込む方法を利用して、ページを移動してもログイン状態を維持する仕組を構築しています。
携帯電話のアクセス解析の未来は?
さて、携帯電話のアクセスの特徴とその際のアクセス解析の方法について、基本的な部分を駆け足で見てきました。今回の重要なポイントは、携帯向けのページのアクセスの解析は、必要となる基本的な知識や仕組はパソコン向けのサイトと同じですが、送られてくる情報の性格が異なるために、異なった手法が必要となる、ということです。
世の中には、携帯向けの機能を用意したり、携帯に特化していることをアピールしているアクセス解析ツールやサービスがたくさんあります。そこがアピールポイントになるのも、携帯電話向けのアクセス解析では、解析の手法も、それから解析時にとりたいと思うデータや、そこから得られる情報も、パソコン向けとはちょっと違ってくるからです。
携帯電話は機種の入れ替わりも速く、どんどんと新しい機種、機能が登場してきています。今でこそJavaScriptも実行できないし、個体識別も難しい携帯電話ですが、きっと今後いろいろとアクセス解析に関する状況も変化して行くのだと思います。そういう速い変化はついていくのは大変ですが、エンジニアである筆者は、面白いなぁと思っています。(前編はこちら)