地上波クオリティのネットオリジナル番組が人気「テレ朝動画」
「テレ朝動画」の無料バラエティ番組「バナナTV」で、笑いのなかに消えてしまったが見逃せないシーンがあった。出演者であるバナナマンが、「この番組ではスポンサーさんを募集しています」と言ったのである。
ネットオリジナルの動画だからこそできた、「ユルさ」なのか。番組ディレクターを務めるテレビ朝日の宮本博行氏は、こう語る。
「もちろん番組の流れで笑いをとるために言ったんだと思いますが、本当にスポンサーが名乗りでてくださったらいいな、という思いもありました。元々親近感があるタレントだけに、視聴者との距離が近い感じをネットコンテンツにも活かしています。
また、これはバナナマンさんに限った話ではありませんが、出演タレントさんも『テレビだから、ネットだから』と差をつけて考えているような人はほとんどいませんね。皆さん楽しんで取り組んでいただいていると思います」
テレビ朝日は、有料・無料の両方の幅広いコンテンツを「テレ朝動画」という1つのサイトから配信している。他の民放キー局では、主に有料(「◯◯オンデマンド」)と無料で別サイトを立ち上げているのに比べると、めずらしいスタイルだ。
有料か無料かは、テレビ局の都合でなくユーザー目線で決める
もちろん、有料か無料かの違いで、コンテンツのクオリティに差をつけるようなことはしていない。たとえば、地上波の人気番組から派生した「ロンドンハーツネットムービー」は、配信開始以来、累計2,600万回以上の再生回数を誇る。
「ロンドンハーツ ネットムービー」はCMを流し、地上波で番組告知を行っているが、これはあくまでモデルケース。基本的にネットオリジナルの無料動画は、イベントなど番組以外の企画で制作費を捻出しているという。
では、有料と無料の違いは何か。「どちらかというと、誰が見ても楽しめるコンテンツは無料での配信が適していると思う」(宮本氏)と、あくまでユーザー目線であると語る。
逆に、ユーザー層が限られるコンテンツに関しては「課金モデルの方が適している」(同社、渕 勇二氏)とも。たとえばアイドルユニット・ももいろクローバーZの番組「ももくろChan」では、アイドル自体にすでに固定ファンが一定数ついているので、ある程度の予算をかけてファンが納得するものを制作することで、課金モデルを成立させている。