TBSのネット活用 報道コンテンツの他チャンネル展開が群を抜く
TBS×ネットといえば、最初に思い出すのが震災時のUstream配信だろう。テレビ局のネット活用というとエンターテイメント系コンテンツが目立つが、TBSでは報道コンテンツにも重きを置いており、その多チャンネル展開は群を抜く。現在、動画ニュースサイト「News i」を運営、年間365日24時間体制でコンテンツが更新している。
TBSの報道局において、地上波以外のコンテンツはデジタル編集部が統括。WebやCS放送ほか、デジタルサイネージなどへの動画ニュース配信や、FacebookおよびTwitterの運用も手がけている。同部門の担当部長を務める鈴木宏友氏は、地上波の報道番組「NEWS23」のチーフプロデューサーを経て、2010年に現職へ。
「一般生活者の視聴行動も随分変わってきています。たとえば大学2年生になる私の息子は、ほとんどテレビを見ません。かといって動画を視聴しないのではなく、明け方までニコニコ動画を見ていたりする。選択肢が増えていることを実感しますね」(鈴木氏、以下同)
文字情報を含めて各チャネルへスムースに配信される仕組み
地上波を含めた報道コンテンツの展開は、次の通りだ。
まず、報道局の記者が現場に出向き「ニュース」を取材。主要なニュースを地上波へ、多種多様なニュースをCS「ニュースバード」に展開。この時点で映像はデジタル化され、「セル」と呼ばれる1分単位のデータとして15分ないし30分の番組内でループさせる形になっている。
一方、この「セル」はWebサイト「News i」にニュース項目として立ち上がると同時に、YouTubeの公式サイトにも展開。さらに、セルはAPI化してFacebookに反映される仕組みになっている。
また、ニュースが「News i」にアップされた時点で、その文字情報がTwitterに自動的配信。どのチャネルにも、タイムラグなく一斉に報道される仕組みが整備されている。
「地上波で放送するものには限りがありますが、基本的にTBSのカメラが捉えた内容は何らかの形で必ず視聴者に還元する、という姿勢で臨んでいます」と鈴木氏。現在、「News i」コンテンツはYahoo! JAPANおよびMSN japanへ提供し、さらに海外通信社からのコンテンツ提供に関しても模索中だという。