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【特集】テレビ業界ネット活用最新動向

テレビ局のネット活用、「本気」を疑う3つの理由
有料配信を成功に導くための提言


 テレビ業界のネット活用最新動向をお届けします。最終回は識者による寄稿です。世界と比較した、日本のテレビ局の特徴と課題は? 有料配信を成功に導く方法とは? 書籍『ネットテレビの衝撃』などで知られる志村一隆氏が論じます。

テレビ局のネット活用の4分類 日本の特異性は「有料サービス」

 世界的にテレビ局のネット活用には、4つのビジネスモデルがある。

 そして日本市場の特異性は、ネット活用が有料サービスである点だ。これは各国と比較して特異であるが、幸いなことである。なぜなら、広告媒体の拡張という目論みで始まったテレビ局のネット活用は、結局コンテンツ配信のインフラとしてネットを活用するという考え方に変化しているからだ。

 たとえば、今から5年前の2008年3月にYouTubeの対抗馬として、米国大手テレビ局のFOXとNBCが共同で開始したHulu(フールー)は当初無料版のみだったが、2年後に有料版をスタート、現在はそちらに力を入れている。その結果、有料会員180万件、2011年度の売上は4.2億ドルまで伸びた。

 「セックス・アンド・ザ・シティ」などを放送するケーブルチャンネルのHBOは、ネット配信サービスの「HBO GO」を2010年に開始、2011年にはiPadやiPhoneといったスマホやタブレットに配信するアプリを配信、3ヶ月で400万ダウンロードされている。

 HBOは、ネット配信は無料だがテレビ放送は有料である。年間142ポンドのテレビ受信料を支払わなくてはならない英国公共放送BBCも、そのネット配信サイト「iPlayer」は無料で利用できる。

 地上波有料放送局は、視聴者の利便性向上を提供する付加価値サービスとして、ネット配信を無料で提供する。いっぽう地上波広告放送局は、新たな収益源とすべく、有料プラットフォームとしてネットを活用する。 いずれにせよ、世界のどこでもネットでテレビ局のコンテンツを見るには、どこかでお金を払わなければならない仕組みになっているのが現状である。

有料モデルに落ち着いた背景 ネット広告ではコストが賄えない

 では、なぜ地上波広告放送局(日本ではいわゆる民放テレビ局)がネットを広告媒体として考えるのを諦めたのだろうか。その背景には、インターネット広告の単価の安さがある。

 2009年に、米国大手テレビ局NBCのジェフリー・ザッカーCEOが「アナログダラーはデジタルペニーにしかならない(ペニーは1ドルの100分の1の通貨単位)」と言ったように、アナログ広告とデジタル広告の単価は格段に違う。ネット配信の広告単価は、プライムタイム帯(米国で夜7時から11時までの広告が一番高価で取引される時間帯)の放送広告の数千分の1だ。

 テレビ局がプライムタイム並みの広告売上をインターネットで稼ぐには、広告枠を大量に用意しなければならない。1時間ドラマに数千回CM枠を設定するのは非現実的だ。それだけテレビ局の広告枠は稀少で、付加価値が高かったのだ。ネット広告は、アナログ時代のコンテンツ制作や営業手法のコストが賄えないほど単価が違うのである。

 したがって、テレビ番組のネット活用法は、有料配信を如何に成功させるかにかかっている。その点、2008年12月にNHKが有料で「NHKオンデマンド」を開始したのは、日本のテレビ局にとって幸いだったといえる。

 最初から有料であれば、無料から有料サービスへの困難の伴う転換を経験しなくても済む。2011年9月に日本市場に参入した米国Huluは月額1,480円の有料版のみの提供であるが、もし日本が無料の広告モデルでの動画配信しか提供できない市場環境だったら、進出できなかったであろう。

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この記事の著者

志村 一隆(シムラ カズタカ)

株式会社情報通信総合研究所 グローバル研究グループ 主任研究員。1991年早稲田大学卒業、WOWOW入社。2001年ケータイWOWOW設立、代表取締役就任。テレビ番組のモバイルコミュニティを構築、ソーシャルテレビの嚆矢となる。2007年より情報通信総合研究所で、テレビとインターネットの海外動向の研究に従事。年間2ヶ月は海外に滞在、現地事情をリアルに発信している。2000年エモリー大学でMBA、2005年高知工科大学で博士号を取得。また水墨画家としても、海外で高い評価を受けている。■著書 ・『明日のメディア 3年後のテレビ、SNS、広告、クラウドの地平線』 ・『明日のメディア:デジタル - CES 2012から見えるテレビの未来 -』 ・『新IT時代への提言2011 ソーシャル社会が日本を変える』 ・『ネットテレビの衝撃 ―20XX年のコンテンツビジネス』 ・『明日のテレビ チャンネルが消える日』

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2012/03/27 10:37 https://markezine.jp/article/detail/15273

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