“オウンドメディアのソーシャル化”に注目が集まる
「Webユーザーは、ますますソーシャルメディアを利用するようになっています。Facebook滞在時間がインターネット利用時間の中で大きな割合を占めるようになる一方、Facebook以外のサイトでは滞在時間が減ってきています。Facebook以外のサイトも何か施策を打たなければいけなくなってきました。そこで“オウンドメディアのソーシャル化”に注目が集まってきているのです」と語るのは、gigya Inc.最高経営責任者(CEO)のパトリック・サルヤー氏。
Gigyaは企業サイトのソーシャルメディア連携を支援する各種プラグインを備えたソーシャル化プラットフォーム「gigya」を提供する企業だ。
Nielsenが2011年5月に実施した調査によると、Facebookでの月間総滞在時間は535億分。Yahoo!の172億分、Googleの125億分を大きく上回っている。(参考記事:米国のソーシャルメディア、Facebookが他を圧倒する滞在時間,INTERNET Watch Nielsen調査)
もっとも、Facebook利用率が50.19%のアメリカに対して、日本での利用率は5.34%と事情は異なる(Socialbakers.com、2月23日時点のデータ)。けれど、「ソーシャルはトレンドではなくて、やらなくてはいけないこと」(サルヤー氏)。アメリカではここ最近、ソーシャル化を進めたメディアとソーシャル化を疎かにしたメディアとでトラフィックに大きな差が生まれつつあり、ソーシャル化に積極的だったニュースサイト「The Huffington Post」のトラフィックは昨年1年間で約2倍に増えたが、ソーシャル化が遅れた同規模のニュースサイトはほとんどトラフィックが変わらなかったとサルヤー氏は一例を挙げた。ほかにも“オウンドメディアのソーシャル化”によって次のような成果が生まれているそうだ。
- 同じサイトであっても、ソーシャル化したサイト機能を利用するユーザーの平均PV数は、利用しないユーザーの2.79倍になる。
- ソーシャル化したサイト機能を利用するユーザーの商品購入率は、一般会員と比べて5倍になる。
このような成果を上げている “オウンドメディアのソーシャル化”とは、一体どのようなものなのだろうか。
ソーシャルログインやシェアなどの“ソーシャル化”機能
“オウンドメディアのソーシャル化”と言っても、「Share」「Like」「ツイート」のボタンを設置するところから、Facebookなどでの行動履歴を活かしてパーソナライズするところまで、レベルはさまざま。gigyaでも次のような機能を備えている。
ソーシャルログイン
FacebookやTwitter、mixiなどのアカウントを使ってサイトに会員登録/ログインできるようにする。
シェア
シェアボタンを設置する。
コミュニティ
アクティビティフィード、コメント投稿、レビュー、ライブチャットなどの機能をサイトに組み込む。
ゲーミフィケーション
サイト内での行動に応じてユーザーをスコアリングし、バッジを付与できる等のゲーム要素。
アナリティクス
ユーザーの登録状況やシェア数の詳細データを確認できる。独自の評価指標によるインフルエンサーの特定も可能。
これらの機能をすべて導入し、先に挙げた「商品購入率が5倍」という成果につなげたのがアウトドア用品を扱うECサイト「Giantnerd」。Giantnerdの事例を通して、“オウンドメディアのソーシャル化”の利点を考えてみよう。