売りたい人と買いたい人のギャップを埋める、それがマーケティング
次のアクションにつなげるビジネス統計。それを考えるために、ここでちょっと根本的なマーケティング論について触れておきましょう。
いつの世も、モノを売りたい人と買いたい人が、ちょうど売りたい時・買いたい時に出会えればお互いハッピーなのですが、現実には両者の間に常にギャップがあります。平たく言うと、このギャップを埋めるための仕組みが、マーケティングと呼ばれるものの本質だと思います。
学問的には、アメリカマーケティング協会(以下、AMA)が、年代ごとにマーケティングの定義を替えています。1985年の定義では、以下のようになっていました。
“Marketing is the process of planning and executing the conception, pricing, promotion and distribution of ideas, goods and services to create exchanges that satisfy individual and organizational objectives.”
(訳)マーケティングは、個人や組織の目的を満足させる交換を創造するために、アイデア、商品やサービスの概念化、価格設定、促進、流通を計画し実施する過程である。
どうですか。一度は聞いたことのある4つのP(製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion))が見えて来ませんか。
2004年、現実のビジネスに対応して以下のように定義の改訂が行われました。
“Marketing is an organizational function and a set of processes for creating, communicating and delivering value to customers and for managing customer relationships in ways that benefit the organization and its stakeholders.”
(訳)マーケティングは顧客に価値を創造し、伝達し、引き渡すための、また組織や利害関係者にとって有益なやり方で顧客関係を管理するための、組織的機能である。
英語としてちょっと読みづらい文章ですが 、大雑把に言うと1985年版が、4P戦略に代表される「いかに売るか?」に重きをおいているのに対し、2004年版では、CRMに代表されるように「売った後の関係性をどう維持していくか?」により重きをおいていることが分かるかと思います。
つまり、社会の成熟に伴い、ある程度生活必需品も満たされ、モノが売りにくい時代になりました。今や、いかに消費者の需要を喚起し、永続的に良い関係を築けるお客様を獲得できるかが死活問題になってきているのです。マーケターはそれを踏まえてデータ解析を行い、アクションにつなげていかねばなりません。
2004年の定義は、実はあまり内部でも評判がよくなく、AMAとしてはめずらしい短いスパンで2007年に改訂版が出されています。詳細は、AMAのサイトでご確認ください。
⇒ http://www.marketingpower.com/AboutAMA/Pages/DefinitionofMarketing.aspx