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Excelビジネス統計~アンケートの設計と分析~

アクセス解析だけじゃ不十分
ビジネス統計を駆使した、プッシュ型リサーチのススメ


そのアクセス解析、ゴールとその達成目標が設定できていますか?

 MarkeZine読者の中には、すでにWebのアクセスログ解析を行なっている方も多いかもしれません。Google アナリティクスに代表されるビーコン型のアプリケーションを活用すれば、ある期間に、どのようなユーザーが訪問し、どのようなコンテンツを閲覧したのかなど、有益なデータが得られるでしょう。

 現状どうなっているかを知るには、それで十分かもしれません。しかし、もしあなたが経営管理をする立場であれば、「今月のアクセス数は◯◯セッションでした。新規とリピーターの割合は◯:◯です。資料請求は◯件でした」と報告されたとして、どうでしょう。これで、何かアクションにつなげることができますか?

 ここで欠けている要素は、ゴールの設定とその達成度です。何かしらベンチマークを設けてサイトを運営していかないと、目標と比較検討できません。アクセスレポートを見て、「ふ~ん、なるほど」で終わってしまいます。

 いわゆるKGIとKPIの設定が必要です。KGIとは、Key Goal Indicatorの略で、数値で管理できるサイトのゴールと言えます。KPIは、Key Performance Indicatorの略で、ゴールがどの程度達成できているかを見る指標になります。

 『Web解析HACKS』(Eric T. Peterson/オライリー・ジャパン)に出てくるように「ECサイト」「広告サイト」「リードジェネレーションサイト」等、サイトの種類によってKPIの設定のひな型を目にすることがあります。

 しかしながら、KPIを設定する際の参考にはなっても、実際には使えるKPIはそうそうありません。KPIは自社のビジネスのゴールから導かれるもの。業種ごとのサンプル的なKPIで対応できるものではないのです。

企業のデータ収集は、プッシュ型とプル型の両方を取り入れるべき

 筆者は仕事柄、大学サイトや自治体のサイトのログを分析する機会が多いのですが、大学サイトのKPIは、Webを離れ、オフラインから見てみないとゴール設計はできません。一度、アクセスログ解析からとれるデータすら無視して、「そもそもこの大学は何のために存在しているのか」から突き詰めていきます。

 サイト運営者とのセッションを通じて、組織の存在意義・目的を明確にしてはじめて、その目的を達成するためにどんな手段が取りうるのか(KSF:Key Success Factor)要因を探していきます。この要因がどれだけ達成できているか、測定するときにはじめてKPIが導びかれてきます。

 アクセスログのように、通常のサイト運営から自然発生的に取得できるデータを分析することを「プル型リサーチ」とします。一方、より俯瞰的にビジネスの方向性、戦略を探索するために自らデータを取りに行くことを、「プッシュ型リサーチ」としたいと思います。プッシュ型リサーチの代表的なものとして、「アンケート」があります。本連載のビジネス統計で扱うテーマを『アンケートの設計と分析』としたのはそのためです。

 この2つのリサーチへのアプローチは、どちらがより優れているかといった次元の問題ではありません。効率的なマーケティング活動を行う上での両輪の関係にあると考えます。

 どちらのリサーチにしろ、適切な手順を踏んでデータを取得し、適切な手法で分析を行う必要があります。統計の世界では、「garbage in, garbage out」という言葉があります。どんなに正しい方法で分析しても、入ってくるデータがゴミであればゴミしか出てこないという意味です。

 本連載では、適切な方法でデータを採取し、適切な方法で分析する統計的手法を紹介していきます。連載を通じて、それぞれの業務で問題解決のマイスターになれるよう頑張っていただきたいと思います。

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この記事の著者

末吉 正成(スエヨシ マサナリ)

株式会社メディアチャンネル 代表取締役。

慶應義塾大学経済学部卒。統計解析を駆使したWebマーケティングが専門。「見るサイト」から「使えるサイト」をモットーにWebサイトの付加価値を高めるコンサルティングを得意とする。

主著に「EXCELビジネス統計」(翔泳社)、「Excelでかんたん統計分析」(オーム社)、「事例で学ぶテキストマイニング」(共立出版)、「Excelでかんたんデータマイニング」(同友館)、「仕事で使える統計解析」(成美堂出版)がある。

所属:言語処理学会、日本行動計量学会、品質工学会

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/05/20 17:42 https://markezine.jp/article/detail/15270

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