UXとの融合が始まった
今回は、ユーザーエクスペリエンス(以下、UX)とアナリティクスの融合を研究・実践している会社やコンサルタントの発表が3つもあったのが印象的だった。
- Avante Consulting社:B2Bリード獲得のサイトにおいてUX視点でWeb解析を活用し、成果を出した事例について発表(参考:B2Bリード獲得サイトでWeb解析を活用 アクション可能なリード数を100倍にした事例)
- Semphonic社:非ECサイトにおいて売上げや入力完了以外のアクションをUX的な視点で定義し、それをコンバージョンとして計測することでサイトの最適化を可能にした事例について発表
- ルイス・ローゼンフェルド氏:サイト内検索のアナリティクスで得られるデータに基づいてについて発表(参考:UX(ユーザーエクスペリエンス)と解析をつなげる「サイト内検索アナリティクス」)
筆者もUX/IA出身であり、データに基づくUXの実践に興味があるため、過去数年に渡ってコンセプトダイアグラム(参考:「コンセプトダイアグラムの描き方」)やスコアリング(参考:「中間指標を作り出すスコアリング手法の考え方」)などの手法を模索・実践・紹介してきた。
A/Bテストなどでクリエイティブ面の最適化をすることは日本でも一般的になってきたが、もっと幅広く、定量的なデータに基づいたUX設計やUX視点をマーケティングに活かす方法について、もっと歩み寄った議論と実践をすべき時期がようやくやってきた、と肌で感じることができた。
解析から視覚化・コミュニケーションへ
得られたデータは、分析して意味を読み取り、アクションにつなげる必要がある。
アクションにつなげるためには、アナリストは組織内の営業やマーケティング担当に対して得られた知見を伝える必要がある。そのために、一般的なコミュニケーション能力に加えて、データを視覚的に分かりやすく伝えるための表現技術が今後はますます重要になっていくだろう。


ところが、基調講演「参考:「ほとんどのダッシュボードは失敗作」 eMetrics: Marketing Optimization Summit基調講演レポート」でも紹介されたように、データの視覚表現に関しては知識やスキルが不足しているため、効率が悪く誤解を招くようなグラフやチャートが世の中に蔓延している。最近の「インフォグラフィックス」でも不適切な視覚表現が多く見られるのは、解析関係者であれば常に感じていることだろう。
データの視覚表現は、マーケティングではなく情報デザインや情報アーキテクチャの領域と密接に関連してくる。「「ほとんどのダッシュボードは失敗作」 eMetrics: Marketing Optimization Summit基調講演レポート」のレポート記事が、この状況を改善するためのきっかけになれば幸いだ。