Webの解析だけではなくなった
eMetricsが「アクセス解析」から「デジタルマーケティング」へと広がってきたことは、2011年10月開催のeMetricsに関する所感記事でも触れた(参考:「eMetrics: Marketing Optimization Summitに参加して感じたこと」)。
このトレンドは今回も顕著で、最初の基調講演では、「Web Analytics Association」(WAA)も組織名を「Digital Analytics Association」(DAA)に変更することがアナウンスされた(参考:「Web解析からデジタルアナリティクスへ」eMetrics: Marketing Optimization Summit基調講演レポート)。「Web Analytics」(Web解析)は、デジタルアナリティクスの一部でしかない、という位置づけだ。
このトレンドは、解析関連のベンダーによるマーケティングにも既に反映されている。Adobe(旧Omniture)は、SiteCatalystは「Adobe Digital Marketing Suite」の中の一つの製品でしかない、と位置づけている。同様に、IBMもCoremetricsを買収し、Enterprise Marketing Managementの一部として位置づけられるようになった。
セッションの内容に関しても、Webにおける解析だけに閉じた話はほぼ姿を消し、包括的なデータ活用の話が多かったようだ。2011年には組織としての取り組み方や「ビッグデータ」の話が多かったが、今回はそれらを超えて具体的な事例の話が多かった。わずか半年で業界のトレンドが進化していることが感じられるということは、それだけ変化のスピードが速いということだろう。
アクションできるデータを能動的に得よう
そんなトレンドを受け、「アクセスの様子」「施策の効果」「人気コンテンツ」を調べるようなタイプの解析はもはや姿を消した。受動的に得られるデータを眺めて意味を見い出そうとするのではなく、ビジネス的に価値があるアクションにつながるデータを決めて、それを得るために必要な努力と工夫をする、というスタイルが定着したようだ。
ツールがデフォルトで提供するデータやレポートに、大きな価値はないのだ。