女性誌のヘッドラインにはヒントが溢れている
雑誌のヘッドラインはキャッチフレーズを学ぶ上でとても参考になる。いつも中刷り広告や表紙には、無性に記事の内容を知りたくなる、好奇心を刺激する表現が溢れている。
雑誌によってはわざと目次とは違う表現にする場合もある。当然、目次よりも引力の強い表現にしている。雑誌の中でも特に女性誌のヘッドラインはよく考えられており、アテンションとインタレストを刺激するものが多い。
最近の女性誌は付録で客寄せしている印象が強いが、だからといってヘッドラインをなおざりにしているわけでもない。相変わらず工夫された表現で虎視眈々と読者を誘っている。そこで、ここ1カ月の間に発売された女性誌の中から、目立ったものをピックアップしてみた。
- 辛口カジュアル
- 魂がふるえる旅。人生をリセットする4つの国へ
- 大人は「メリハリ塗り」で発光美肌!
- やさしさ花咲く「サクラ顔」
- 春のおしゃれホワイトプラン
- 「ゆるトラの母」がいる。
- キレイの秘密は「里子シンプル」にある!
- 前髪マジックで高めよ、おでこ力
主に女性ファッション誌のヘッドラインだ。感心するのは言葉や意味を濃縮して表現するセンスである。<「ゆるトラの母」がいる。>のように、<ゆるくて楽なトラッド・ファッション>を短縮した表現もあれば、白い服と白い小物によるコーディネートを<春のおしゃれホワイトプラン>とコンセプトのように表現したものもある。
いずれもキレのよさがありながら、瞬時に意味が分かる、あるいは興味をかきたてる力がある。言葉の意味や伝えたい情報を煮詰めて取り出された表現はメッセージがギュッと詰まっており、<引きの強さ><伝達の速さ><憶えやすさ>が強化される。
濃縮還元フレーズはなぜWebの文章に不可欠なのか
こうした「言葉・意味の濃縮還元」はキャッチフレーズでもよく使われる表現作法で、特にWebのライティングには不可欠だ。理由は2つある。
その1~ユーザーは読むというより見る
Webの文章はたいてい流し読みされる(詳しくは本連載の2回目参照)。ヘッドラインや最初のセンテンスをサッと流し読みして、その先を読むかどうか決める。ニュースサイトのようにヘッドラインが多く並んでいる場合でも、1つひとつチェックすることはなく、単語を拾いながら気になる単語があれば読む。
つまり読むのではなく、見るといった方が近い。そうした行動を想定するならば、キャッチフレーズも簡潔で強い表現でないと、読み手に無視される。視線を送った瞬間に目に飛び込んでくるような表現が欲しい。その意味で<言葉・意味の濃縮>は有効だ。
その2~強い伝播力
iPadがはじめてお目見えしたとき、ジョブズさんは「僕らは、魔法のような革新的デバイスを驚きの価格で提供することに成功した」とプレゼンテーションの最後を締めくくった。
これを受けて、CNNなどのメディアは<魔法のようなiPad>や<iPadは革命的で魔法のようだ>と書いたという。ちなみに「iPad」「革命的で魔法のよう」で検索すると、39万9千件もヒットした。強い表現は伝播力だけでなく、拡散力もあるのだ。
たとえ魅力あるメッセージでも、それを誰かに伝えるときにわざわざ自分で要約したり、キャッチフレーズをつくって伝えるのはひどく面倒だ。また長い表現だと憶えにくく、間違って伝えることもある。
それに簡潔であれば口コミやツイッターにも乗りやすい。さらに広がりも期待できる。つまりはじめに情報に触れた人だけでなく、その人から情報を受ける人へも伝わりやすいのだ。これはキャッチフレーズだけでなく、リリース、プレゼン資料等のヘッドラインにも言えることだ。
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