数字だけではお客さまの文脈までは見ることができない
「実は、店頭にいた頃が一番お客さんを理解できていた」。現職に就く前はソフマップの店舗経験が長かったという中澤氏。自身の経歴をデータ活用の歴史になぞらえながら、顧客との向き合い方について振り返った。
店舗で接客をしていれば、どうして来店したのか、何を探しているのか、直接会話することでお客さまの心理を汲み取り、リアルタイムにベストなタイミングで最適な対応をすることができた。
しかしECを専業とするゴルフダイジェスト・オンライン社(以下、GDO)では、文脈を見るための店舗がなく、困った中澤氏はログ解析でお客さまの行動を把握しようと試みるようになる。「10年間データと向き合ってきても、いまだにお客さまが見えている感覚はありません」そんな中澤氏が希望の光として見出したのが「ビッグデータ」だ。
ビッグデータとはいったい何なのか
ビッグデータについて調べてみたところ、ベンダーによって解釈は異なり、文書によっても定義にはばらつきがあったという。考察を進める中で中澤氏が自分なりに出した答えは、「ビッグデータとは、これまで取り扱いにくかったデータ群を含む、大量データの総称である」というものだ。具体的には以下の3つの特徴が挙げられる。
- 大容量の、WebログデータやPOSデータ
- 文章、動画、センサーなどの非定型・非構造化データ
- リアルタイム性が高いデータ
非構造化データとは、リレーショナルデータベースに格納できないような、構造定義が雑然としたデータ群を指す。完全な構造定義を持たないため、表形式でデータの結合や抽出を行うことができない。
そのため、利用可能な形にするためには、テキストマイニングを行ってメタデータをタグ付けするなどのひと手間をかけなければならず、マーケターが分析利用するためのハードルは高いものであった。